耐震住宅でも必要な「制震ダンパー」とは?効果・費用・比較まで網羅的に解説

耐震住宅でも必要な「制震ダンパー」とは?効果・費用・比較まで網羅的に解説

地震大国である日本に暮らす私たちにとって、住宅の「耐震性」を高めることは当たり前の備えとなりました。

しかし、実際の大地震では、耐震構造だけでは防ぎきれない「繰り返す揺れや建物内部へのダメージ」が問題になることもあります。

そこで注目されているのは、「制震ダンパー」を使った耐震+制震のハイブリッド対策です。

本記事では、耐震と制震の違いや制震ダンパーの仕組み、費用や導入時の注意点、実際の施工事例や製品比較など、これからの地震対策に必要な知識を徹底解説します。

この記事を読んだらわかること

・耐震住宅でも「制震」が必要な理由を、耐震と制震の違いからご紹介します。

・制震ダンパーにも種類(オイル・ゴム・鋼材など)があり、特徴が異なりますので解説します。

住まいの地震への対策はお済みですか?
今、費用を抑えつつ住宅の地震対策に高い効果を得られる「制震ダンパー」のニーズが高まっています。

制震ダンパーについて詳細をお知りになりたい方やご興味を持たれた方は、資料請求からお気軽にお問い合わせください。

 

耐震と制震の違いとは?まずは基本を整理

耐震性を高めた住宅でも、制震の考え方を導入するのはどうしてなのか、はじめに解説します。

耐震とは?建物そのものの強度で揺れに耐える技術

耐震とは、地震による揺れに対して「建物そのものの強度」で耐える技術のことです。

柱や梁を太くする、筋交いを入れる、接合部を強固にするなどの工法により、建物を地震に強くします。

住宅で多く採用されているのは「耐震等級」によって性能が評価された耐震設計です。

耐震等級1
  • 震度6強~7程度の数百年に一度レベルの地震ではすぐに倒壊や崩壊をしない
  • 震度5程度の数十年に一度発生する地震ではすぐに住宅が損傷しない

※現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たしている

耐震等級2
  • 「耐震等級1の1.25倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない
耐震等級3
  • 「耐震等級1の1.5倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない

 

表のように耐震等級には1〜3の3種類まであり、最も高い等級3では震度6強〜7の地震でも損傷しづらい性能が求められます。

>関連コラム:【いまさら聞けない?】耐震構造ってなんだろう?メリット・デメリットを知っておこう

制震とは?揺れを吸収してダメージを抑える技術

制震ダンパー施工事例(株式会社三宝工務店様・S様邸・新築工事)

>制震ダンパー施工事例(株式会社三宝工務店様・S様邸・新築工事)

一方、制震(または制振)とは、地震の揺れを吸収し、建物に伝わるエネルギーを減らす技術です。

建物内部に「制震ダンパー」と呼ばれる装置を設置することで、地震の揺れに対する変形を抑え、構造体へのダメージを軽減します。

制震は特に「繰り返しの揺れ」に強く、1回目の地震で損傷を受けた後も建物の耐震性を保つ効果があります。

>関連コラム:制震構造のメリットとデメリット|きちんと知って住宅に万全の地震対策を

免震との違いも簡単に

地震対策には、もうひとつ「免震」という考え方もあります。
これは建物の基礎と地面の間に免震装置を設置することで、揺れを建物に伝えにくくする技術です。

ただし、免震は構造が複雑かつコストが高いため、一般の戸建て住宅ではあまり普及していません。

 

改めて、耐震、制震、免震の違いをまとめました。

対策法 特徴 一般住宅での採用
耐震 強度で耐える ◎(標準的)
制震 揺れを吸収 ◯(拡大中)
免震 揺れを遮断 △(高コスト)

 

「耐震」は地震に対して効果が高い一方で、複数回発生する地震に対して弱い特徴を持っています。

「制震」や「免震」によって、繰り返し発生する地震にも耐える家を目指しましょう。

中でも「制震」は費用負担が免震ほど多くなく、また繰り返し発生する地震への十分な効果を期待できます。

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なぜ「耐震」だけでは不十分なのか?

「耐震だけでは不十分、制震や免震といった対策も必要」

このように指摘されるのはどうしてなのでしょうか。
制震を取り入れるべき理由の前に解説します。

耐震は、柱や梁、壁などの構造体を強固にして揺れに「耐える」仕組みです。

耐震化はコストを比較的抑えやすいメリットがあります。
また、耐震等級制度により、客観的に一定の性能評価が得られる点も安心材料です。

その反面、次のような注意点がありますのでご紹介します。

  • 地震の揺れが建物にダイレクトに伝わる
  • 繰り返す余震で構造体にダメージが蓄積する
  • 上階ほど揺れ幅が大きくなりやすい

>関連コラム:新旧耐震基準と2000年基準の違いとは?|耐震性の確認や耐震補強の方法を解説

地震の揺れが建物にダイレクトに伝わる

なぜ「耐震」だけでは不十分なのか?:地震の揺れが建物にダイレクトに伝わる

耐震構造は揺れに「耐える」ことは可能ですが、言い換えると「揺れを全て建物が受け止める」構造ともいえます。

大地震が発生した場合に、柱や梁、接合部に大きな力が集中することとなり、破損や緩みなどの損傷を受けやすくなります

建物全体で揺れを受けることから、家具の転倒やガラスの破損といった居住空間も被害を受けやすい点にも注意が必要です。

繰り返す余震で構造体にダメージが蓄積する

耐震構造(耐震基準)はあくまで倒壊を防ぐことを目的としていて、大地震による損傷は避けられません。

一方で近年の大規模な地震では、本震の前後も震度6を超える余震が観測されることもあり、耐震の考え方だけでは連続した揺れに耐えられない可能性があります。

>関連コラム:地震の前震は必ずある?前震・本震・余震と繰り返す地震の種類と対策

上階ほど揺れ幅が大きくなりやすい

建物は上層階ほど、揺れが大きくなりやすい特徴を持っています。

これは構造体がしなること、また屋根や上階が慣性力によって揺れが増幅されることなどが原因です。

このため、2階建て、3階建ての住宅で揺れが大きくなり、構造体に加わるダメージも深刻となる恐れがあります。

 

このように、「耐震」の考え方には弱点もありますので、地震の揺れやエネルギーを吸収し分散する「制震」の考え方が必要です。

単に倒れないことに加えて、構造体にダメージを与えない発想が人命や資産を守る上で重要となります。

制震ダンパーの特徴を紹介

耐震構造だけでは地震対策が不足する中、制震ダンパーに注目が集まっています。

制震ダンパーを設置する場合のメリット、およびデメリットについて、さらに詳しく確認しましょう。

繰り返し発生する揺れに強い

制震ダンパーの大きなメリットは、建物の変形を抑えられ、繰り返し発生する揺れに強いことです。

一度目の揺れで受けたダメージを軽減し、二度目以降の地震にも備えることができます。

加えて、次のような点も注目されています。

  • 台風や強風時にも揺れを軽減する効果がある
  • メンテナンスがほとんど不要な製品がある
  • 戸建てからビルまで幅広く導入が進んでいる

制震ダンパーの設置費用や注意点

なお、制震ダンパーには費用や施工に関する注意点もありますので紹介します。

  • 「耐震」によって一定の地震に耐えることが前提
  • 製品や性能によって価格に幅がある
  • 地盤が軟弱な地域では設置が難しい場合もある
  • 基本的には「倒壊を防ぐ」のではなく「ダメージを抑える」ための装置

制震ダンパーの費用については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。

>関連コラム:制震ダンパーの設置価格、費用はどれくらい?他の地震対策や「生活を再建するための費用」との比較を確認

制震ダンパーの種類と特徴【比較表あり】

制震ダンパーには様々な種類があり、使用されている素材や構造によって特性や施工方法が異なります。

製品間の特徴を正しく把握することで、最適な製品を選べますので違いを確認しましょう。

種類 主な素材 特徴
オイルダンパー オイル
揺れを粘性で吸収、高い減衰性能を持つ
ゴムダンパー 高減衰ゴム
揺れに対してしなやかに変形、小さな揺れにも対応
鋼材ダンパー 鋼材
金属の塑性変形を活かして揺れのエネルギーを吸収

 

より詳しくは以下のコラムで解説していますので、ダンパーによる違いが気になる方はご確認ください。

>関連コラム:制震(制振)ダンパーの種類(オイル・粘弾性・鋼材)を比較・解説│メーカーや制震方式の特徴も紹介

制震ダンパーの中でもおすすめの製品は「オイルダンパー」です。

オイルダンパーは比較的小型でリフォームにも対応でき、また製品にもよりますが、長期間メンテナンスフリーで高い効果を発揮し続けます。

制震ダンパー(オイルダンパー)について詳細をお知りになりたい方やご興味を持たれた方は、資料請求からお気軽にお問い合わせください。

制震ダンパーのよくある疑問Q&A

記事の終わりに、制震ダンパーについてよくある疑問をまとめて解説します。

Q:「制震ダンパーは意味がない」と聞いたけど本当?

A.地震に揺れを減衰する制震ダンパーは設置する意味があり、地震によるご自宅の損傷を防ぐ効果を発揮します。

制震ダンパーは地震時でなければ効果を発揮しないことから、こうした指摘を受けることがあります。

どのような効果を発揮しているのか、正しく把握することで制震ダンパーを設置する意味を確認しましょう。

>関連コラム:制震ダンパーは意味ない?制震の効果と必要性を徹底検証

Q:耐震等級3の家にも必要?

A.耐震等級3の家であっても、制震ダンパーの設置がおすすめです。

耐震等級3は高い耐震性を持つことは確かですが、地震のたびにダメージが蓄積することは弱点です。

制震ダンパーを併用すれば、大地震に加えて余震にも耐える「本当に強い家」になります。

>関連コラム:【耐震等級とは?】耐震等級を高くすることで得られるメリット・デメリット

まとめ│耐震+制震の家づくりで、大切な家族を守る

日本は世界有数の地震大国で、今後も大地震の発生は避けられない中で、住宅の耐震性は「いつか備える」ではなく「今すぐ備える」べき課題です。

従来の耐震基準に基づいた住宅であっても、繰り返す揺れや見えないダメージの蓄積には弱点があります。

そこで、耐震構造に加えて「制震ダンパー」を導入することで、建物の被害を最小限に抑えることが可能となります。

「耐震等級3だから安心」とは考えず、余震など複数回発生する地震にも強い住まいを実現しましょう。

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。

恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。

「この住宅には設置できるの?」

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などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。

資料請求フォームからもご質問等受け付けております。

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021