木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法とは?耐震性と効果的な地震対策

耐震性と効果的な地震対策
この記事を読んだらわかること

・木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法について知ることができます。
・木造住宅へのより効果的な地震対策について知ることができます。

私たちの住宅の構造には「木造」「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」など様々ありますが、その中の70~80%以上を木造が占めています。

木造住宅はさらに工法の違いによって「木造軸組工法(在来工法)」「木造枠組壁工法」の2種類に分けることができます。

それぞれ特徴が異なるため、どちらがよいか迷う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「木造軸組工法(在来工法)」と「木造枠組壁工法」に注目し、メリットデメリットなどの特徴や耐震性について解説します。

これから戸建て住宅をお考えの方はもちろん、住宅の耐震性や地震対策へ関心のある方はぜひご参考下さい。

木造住宅の工法は大きく分けて2種類

繰り返しになりますが、木造住宅の工法は次の2つに大きく分けられます。

次項からそれぞれの特徴を詳しくみてみましょう。

木造軸組工法(在来工法)とは

木造軸組工法は在来工法とも呼ばれ、柱・梁・桁・土台・筋交いなどで建物の骨組み(軸組)を作り建築する工法です。

土台と柱、柱と梁、というように各点と各点を線で結ぶようにして作られるため、「線」で支える工法と表現されることもあります。

木造軸組工法は神社仏閣や歴史的建造物、古民家等でも用いられており、高温多湿な日本の気候や風土に合った、日本で古くから定着している工法です。

近年では接合部への金物の使用やその他の構造の組み方の応用など、現代の技術も取り入れながら現在でも最も多く採用されています。

木造軸組工法の中でも木材の接合部に金物を使用するものを在来工法、金物を使用しないもの伝統工法と呼びます。

木造軸組工法(在来工法)のメリット  

木造軸組工法のメリット

木造軸組工法には次のようなメリットが挙げられます。

  • 設計の自由度が高い 
  • 広い開口部をつくることが可能
  • リフォームでも幅広いプランに対応しやすい
  • 施工できる会社が多い

ではそれぞれを詳しくみてみましょう。

設計の自由度が高い 

木造軸組工法の一番のメリットとしてよく挙げられるのが、設計の自由度が高い点です。

木造軸組工法は柱・梁・桁・土台といったいわゆる点と点を線で結んだ線で支える骨組みをしているので、使用する木材のサイズや組み合わせによって柔軟に設計することができ、壁を設置する場所の選択肢も多くなります。

したがって、“ワンフロアの開放的な大空間”のようなさまざまな間取りへの対応が可能となり、収納面で細かい要望を叶えたり、狭小地や変形地などの土地形状に合わせたりすることもできます。

広い開口部をつくることが可能

開口部を広くとることができる点も、木造軸組工法のメリットのひとつです。

開口部とは、建築物の外部に面する壁や屋根などに設ける、窓や出入り口のことです。

木造軸組工法は先述の通り柱といった線で支える工法であるため、柱と柱との間に開口部を広くとったり、壁面に広い窓口を設けたりすることが可能になります。

リフォームでも幅広いプランに対応しやすい

設計の自由度が高く、窓や出入り口など開口部の大きさも比較的自由にできるということは、後のリフォームやリノベーションをする際にもプラスに働きます。

耐力壁等の耐震性を確保しておけば、たとえばリビング続きの部屋の壁を取り払って広いリビングとしたり、反対に壁を増設して部屋数を増やしたりといった大幅な間取り変更にも柔軟に対応可能です。

外への出入り口があるランドリールームの増設なども行いやすいでしょう。

施工できる会社が多い

木造軸組工法はなんといっても日本に古くからある工法であり、最も普及している工法です。

したがって施工できる会社が日本全国にたくさんあるというのもメリットのひとつです。

施工できる会社が多いと工務店やハウスメーカーなど好みに合った会社の選択肢が広がるだけでなく、リフォームや増改築を考えたときにも依頼できる会社の選択肢が増えるといったメリットがあります。

木造軸組工法(在来工法)のデメリット             

木造軸組工法のデメリット

では木造軸組工法のデメリットはどんなことがあるのでしょうか。

  • 仕上がりの品質に差が出る可能性がある
  • 工期が長くなる傾向にある
  • 建築費が高くなる傾向にある
  • 木造枠組壁工法と比較して耐震性に劣る可能性がある

それぞれを詳しくみてみましょう。

仕上がりの品質に差が出やすい

木造軸組工法は、大工さんが現場で柱を建てたり梁を渡したりといった作業を行うため、担当する大工さんの技術力や経験値によって仕上がりが異なってしまう可能性があります。

また、使用する木材は自然素材ですので、産地や質の違いによっても仕上がりにバラツキがでることもあります。

品質を均一に保つため部材をセントラル工場で一括して製造しているハウスメーカーや工務店もありますが、他の工法と比較して建て終えた後の仕上がりの品質に差が出やすいという点はデメリットといえます。

工期が長くなる傾向にある

もう一つの木造住宅の工法である木造枠組壁工法と比較すると、建築にかかる工期が長くなる傾向にあるという点も、「いついつまでに引っ越したい」といった希望がある場合はデメリットになり得ます。

やはり大工さんが現場で行う作業がメインであり、季節や気候に左右されやすいことから工期は長くなってしまいます。

一方で大工さんが丁寧に作業してくれるのは、安心材料のひとつでもありますね。

建築費が高くなる傾向にある

工期が長くなるとその分人件費も必要となるため、トータルで建築費用が高くなりがちである点もデメリットのひとつです。

木造枠組壁工法と比較して耐震性に劣る可能性がある

木造軸組工法は、木造枠組壁工法と比べると耐震性に劣ると言われています。

詳しくは後述しますが、木造枠組壁工法はいわゆる「面」で支える工法です。

「線」で支える木造軸組工法と比較すると理論上、木造枠組壁工法の方が耐震性に優れているということになります。

しかし近年は木造住宅の耐震性は法律上でも技術面でも向上しているので、木造軸組工法の耐震性も大幅にアップしてきています。

木造枠組壁工法とは

木造枠組壁工法はフレーム状に組まれた枠材に合板ベースでつくられた壁・床などのパネル(面材)を取り付け、それらを組み立てて建築する工法です。

このように面材を組み立てて建物を支えることから、木造枠組壁工法は「面」で支えるというイメージで表現されています。

中でも「2インチ×4インチ」の角材で作られた枠材に面材を取り付けて壁を作り組み合わせていく工法を2×4(ツーバイフォー)工法といい、木造枠組壁工法の代表的な工法となっています。

ちなみに2×4(ツーバイフォー)工法は北米から伝わった工法で、角材のサイズには2インチ×6インチ、2インチ×8インチなど全部で6種類の規格材があります。

木造枠組壁工法のメリット      

木造枠組壁工法のメリット   

木造枠組壁工法のメリットには次のようなことが挙げられます。

  • 耐震性・耐風性が高い
  • 気密性・断熱性が高い
  • 防火性が高い
  • 工期が短めである
  • 仕上がりの品質が安定している

ではそれぞれを詳しくみてみましょう。

耐震性・耐風性が高い

木造枠組壁工法は何度もお伝えしているように「面」で建物を支えることから、耐震性や耐風性に優れているというメリットがあります。

現在の木造住宅の耐震基準は厳しく定められているためどの住宅も耐震性は高くなっていますが、木造軸組工法は点と点を結んだ「線」で支える工法であるので、両者を比較した場合「面」で支える木造枠組壁工法の方が耐震性・耐風性ともに有利であるといえます。

気密性・断熱性が高い

木造枠組壁工法は面材をつなぎ合わせて組み立てるので隙間ができにくいたため、気密性・断熱性に優れているというメリットがあります。

防火性が高い

防火性に優れているのも木造枠組壁工法のメリットのひとつです。

木造枠組壁工法では基本的に6面体の箱が組み合わさった構造になっているので、壁や床といった枠材等が空気の流れを防いで火の通り道を遮るため、火が上階へ燃え広がるのを防ぎます。

工期が短めである

木造枠組壁工法は木造軸組工法と比較した場合、工期が短めであるというメリットがあります。

木造枠組壁工法で使用する材料はほぼ規格化されているほか、あらかじめ工場で組み立て等を行っているため現場での作業が比較的少なくなっています。

そのため現場作業のボリュームが削減され、その分工期も短めになります。

仕上がりの品質が安定している

仕上がりの品質が安定的であるのも木造枠組壁工法のメリットのひとつです。

先述の通り木造枠組壁工法では材料の規格化やシステム化がなされていることに加え、組み立てや施工についても釘打ちの間隔から本数といった細かい部分までマニュアル化されています。

そのため税量の品質はもとより、大工さんの技術力や経験値にあまり左右されることなく仕上がりの品質を保つことができます。

木造枠組壁工法のデメリット  

木造枠組壁工法のデメリット   

一方で、木造枠組壁工法にも次のようなデメリットがあります。

  • 間取りの自由度が低い
  • 広い開口部をつくることが難しい
  • リフォーム時の間取り変更に制限がある
  • 湿気に弱い

それぞれの詳細は次の通りです。

間取りの自由度が低い

木造枠組壁工法のデメリットとして、まず間取りの自由度の低さが挙げられます。

建物を壁などの面で支え、規格化された6面体の箱が組み合わせていく構造の木造枠組壁工法では、木造軸組工法と比較するとどうしても間取りの自由度は下がってしまいます。

また、木造枠組壁工法では1階と2 階の耐力壁は原則として同じ耐力壁線上に設けるといったルールがあるため、2階の間取りにも制約がでます。

広い開口部をつくることが難しい

木造枠組壁工法は面で支えることで耐震性・耐風性などに優れているというメリットがある反面、壁の重要性が高いため広い開口部をつくるのが難しいというデメリットがあります。

面材を取り付ける枠材には、強度を保つために上下に角材が数本差し込まれており、これらを取り払うと強度が下がってしまいます。

そのため壁を取り払って大空間としたり、壁を大きく抜いて広い開口部をつくるのが比較的難しくなっています。

湿気に弱い

木造枠組壁工法のメリットでもある気密性・断熱性の高さゆえ、室内外の温度差が大きくなり結露が発生したり、湿気が室内から逃げづらかったりといった湿気への弱さは木造枠組壁工法のデメリットです。

湿気に弱いとカビ・シロアリなどの被害を受けやすくなってしまいます。

しかし2003年には24時間換気システムの設置が義務付けられたこと、最近では壁と面材の間に通気層を設けるようになったことなどから、かつてより改善が進んでいます。

リフォーム時の間取り変更に制限がある

木造枠組壁工法ではリフォームで間取り変更をしたい場合にも制限が出てくるというデメリットがあります。

柱や梁がない分、壁(耐力壁)を削れない箇所が木造軸組工法よりも多く、最低限必要な壁(耐力壁)の数が多くなります。

そのため、既存の壁を取り払って広いリビングに変更などといった間取り変更ができないというケースが多々あります。

耐震性は木造軸組工法<木造枠組壁工法?

在来工法木造住宅の構造部

ここまで木造住宅の木造軸組工法と木造枠組壁工法について特徴やメリット・デメリットをお伝えしました。

その中でも特に「耐震性」について結局どちらが優れているのか気になる方も多いと思います。

繰り返しになりますが、木造軸組工法が「線」、木造枠組壁工法が「面」で支えて住宅を建てるため、耐震性に関しては後者の方が有利と言われています。

しかし昨今は木造住宅全体の耐震性自体が向上しています。

木造軸組工法でも構造用合板を使って壁を強化することが当然となっており、木造枠組壁工法に近いつくりの木造軸組工法が増えています。

また、耐震基準の改正により木造軸組工法の接合部の補強が強化されるなどによって、両者の耐震性の差は以前よりも小さくなっているといわれています。

これから木造住宅を建てる場合、木造枠組壁工法の方が耐震性・耐風性に優れてはいるものの、以前と比べて両者間の差はなくなってきていると言えるでしょう。

反対に築年数が経過したもので比較した場合は、木造枠組壁工法で建てられた住宅の方が耐震面で有利であるといえます。

まとめ

今回のコラムでは木造住宅の工法である「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法」についてお伝えしました。

それぞれのメリットデメリットをよく比較して、より自分達に合った工法を選択するとよいでしょう。

耐震性については、2001年に新たに制定された耐震等級の表示によって、私たちが木造住宅の耐震性を知る目安もわかりやすくなっています。

耐震性が気になる場合は後方だけでなく、耐震等級についても理解して確認しておくと良いでしょう。

地震対策に新しいスタンダード「耐震化+制震」

制震ダンパー

耐震性・耐風性に優れた木造枠組壁工法の家、耐力壁がたくさん設置された耐震等級の高い木造軸組工法の家、であれば地震対策は安心でしょうか?

実は昨今、住宅の地震対策として耐震化された住宅に制震の技術を取り入れる「耐震化+制震」という考え方が注目されており、大手ハウスメーカーなどでも取り入れられてきています。

制震を取り入れるには、住宅に「制震ダンパー」と呼ばれる制震装置を設置する方法が最も一般的です。

制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

トキワシステムがおすすめする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーで、次のような特長があります。

  • 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
  • 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
  • 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
  • コストパフォーマンスの高さ
  • さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
  • 18,000棟以上にもおよぶ採用実績

次の実証実験結果をご覧ください。

耐震工法で建てられた住宅に制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を設置することで、柱の変位量が最大55%低減できることがわかります。

耐震等級2へαダンパーExⅡを設置した実験結果

このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は安心・高品質な制震装置で、小型化により施工も容易なため住宅の新築時の施工はもちろん、既存住宅への設置も可能です。

<参考コラム>制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり

       制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。

恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。

耐震性の優れた住宅に制震ダンパーをプラスして、より安心・安全な住宅を目指してみませんか?

「αダンパーExⅡ」があなたの大切な住宅をしっかりとサポートします。

「この住宅には設置できるの?」

「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」

などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちら

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021