【耐震性の高い家でも効果的】制震ダンパー、構造やメリット・デメリットを徹底解説

耐震化を果たした自宅について「もっと地震に強くしたい」と考える方にとって、制震ダンパーは有効な選択肢のひとつです。
耐震構造が建物自体の強度を高めることに対し、制震ダンパーは地震の揺れを吸収・低減し、繰り返す地震や強風によるダメージを抑える役割を担います。
本記事では、制震ダンパーの仕組みや種類、寿命、メリット・デメリットを詳しく整理し、よくある誤解や「意味がない」と言われる理由についても検証します。
これから家を建てる方はもちろん、既存住宅の地震対策を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
・耐震構造、免震構造との違いを含めて、制震構造の基本を理解できます。
・制震ダンパーの種類や寿命、メリット・デメリットを多角的に確認できます。
・「効かない」と言われる理由やよくある誤解を整理し、正しい知識が得られます。
制震ダンパーについて詳細をお知りになりたい方やご興味を持たれた方は、資料請求からお気軽にお問い合わせください。

目次
制震構造ってどんな構造?
建物の地震対策は、以下のとおり「耐震構造」「免震構造」「制震構造」の3つが主な方法です。
構造 | 特徴 |
耐震構造 | 建物の構造自体の強度を高め、地震の揺れに耐える構造 |
免震構造 | 地盤と建物の間に免震装置を設置し、地盤と建物を切り離すことで地震の揺れを直接建物に伝えないようにする構造 |
制震構造 | 制震装置の設置によって地震の揺れによるエネルギーを吸収し、地震の揺れを抑制する構造 |
耐震構造とは
耐震構造とは、建物自体の強度を高めることで、地震による横揺れの力に耐えられるように設計された構造です。柱・梁・壁といった主要な部分を頑丈に補強し、倒壊や大きな損傷を防ぐことを目的としています。
- 地震対策として最も基本的で広く普及している構造
- 柱、梁、壁など主要部分を強化して建物を支える
- 比較的コストを抑えて導入できる
- 効果が実証されており、安心感を得やすい
- 倒壊は防げても、室内の損傷や繰り返し地震による劣化には弱い
このように、耐震構造は基本的な地震対策として優れていますが、損傷に弱いという弱点を補うには制震や免震との組み合わせが効果的です。
>関連コラム:【いまさら聞けない?】耐震構造ってなんだろう?メリット・デメリットを知っておこう
免震構造とは
免震構造とは、地盤と建物の間に免震装置を設置し、地盤と建物を切り離すことで揺れを直接建物に伝えないようにする仕組みです。
免震装置は主にアイソレータ(免震支承)や免震ダンパーから構成されます。
- 地盤と建物を絶縁するため、揺れを大幅に軽減できる
- 特に高層階の揺れに効果的で、タワーマンションなどで採用例が多い
- 強風や縦方向の揺れには弱い面がある
- 導入コストが最も高く、設置条件にも制限がある
- 一般の戸建て住宅ではまだ普及が限定的
このように免震構造は揺れの低減効果に優れていますが、費用や条件の面で導入しづらい側面もあります。
>関連コラム:免震とは?特徴やメリットデメリットを詳しく説明|戸建住宅への向き不向き
制震構造とは
制震構造とは、建物に制震装置(制震ダンパー)を設置し、地震の揺れによるエネルギーを吸収して揺れを抑制する仕組みです。
小さな揺れから効果を発揮することから、台風など、他の災害に対しても一定の効果を期待できます。
- 制震ダンパーにより、地震エネルギーを吸収、揺れを低減する
- 柱、梁、接合部へのダメージを軽減し、建物の寿命を延ばす
- タワーマンションや橋梁など大型建築物で利用され、戸建て住宅にも普及
- 揺れの「繰り返し」に強く、余震や連続する地震にも有効
- ダンパーの種類によって特性が異なる(オイル・粘弾性・鋼材)
- 耐震や免震に比べ、コストと効果のバランスに優れる
なお、制震ダンパーは主に3つの種類があり、それぞれ特徴が異なりますので把握することが重要です。
- オイルダンパー(油圧式):特殊なオイルが移動する際の抵抗で揺れを吸収
- 粘弾性ダンパー(ゴム系):弾性素材で揺れを吸収
- 鋼材ダンパー:鋼材の変形時に生じるエネルギーで揺れを吸収
制震ダンパーは種類によって特徴が異なり、建物や用途に応じて適したものを用いることが重要です。
もっと詳しく知りたい方、導入をご検討中の方は、わかりやすい資料を送付させていただきます。
制震構造のメリット

ご紹介した特徴を持つ制震ダンパー、利用することで建物に対してどういったメリットが生まれるのでしょうか。
(1)耐震構造の弱点をカバー
制震構造の大きなメリットのひとつに、耐震構造の弱点を補える点があります。
耐震構造は建物自体を強固にすることで倒壊を防ぎますが、その分、地震エネルギーを直接受け止めるため、建物や構造部に大きなダメージが蓄積しやすい点が課題です。
制震構造では、制震装置が揺れを吸収・分散することで衝撃を和らげ、建物への負担を減らすことが可能です。
- 柱、梁、接合部など構造部への損傷を低減できる
- 繰り返し発生する揺れによるダメージの蓄積を軽減できる
- 大地震後の余震や連続する地震に対しても建物の耐久性を維持しやすい
このように、制震構造は「倒壊を防ぐ」耐震構造と組み合わせることで、より長期的に安心できる住まいを実現します。
>関連コラム:「耐震補強は意味がない」言われる5つの理由・「意味がある」5つの理由│耐震補強以外の地震対策も紹介
(2)免震よりも低コスト
地震対策の工法をコスト面で比較すると、一般的には免震構造 > 耐震構造 > 制震構造の順で費用がかかります。
特に免震構造は導入コストが高く、一般的な戸建住宅でも200~300万円以上を見込むケースがあります。
一方で制震構造は製品にもよりますが、小型のダンパーを建物の一部分に設置できますので、コストを抑えやすい特徴があります。
費用を抑えつつ地震対策を強化したい方にとって、制震構造は現実的な選択肢といえます。
(3)強風や共振現象にも効果を発揮
制震構造は、地震による揺れだけでなく、強風や共振現象による建物の揺れを抑える効果もあります。
特に共振現象は「地震の揺れの周期」と「建物の固有周期」が一致することで揺れが増幅し、最悪の場合は倒壊につながるリスクがあるため注意が必要です。
制震ダンパーはこうした揺れを吸収、分散する役割を持ち、以前は高層ビルなどで多く採用されてきましたが、技術の小型化により一般住宅でも導入が進んでいます。
- 強風による建物の揺れも軽減できる
- 共振現象による揺れの増幅を防ぎ、倒壊リスクを抑える
- 上層階ほど効果を得やすく、快適性の向上にもつながる
>関連コラム:結局「耐震・免震・制震」のどれがいいの?効果的な組み合わせの解説と実例を紹介
制震構造のデメリット

制震構造には複数のメリットがありますが、実はデメリットもありますので確認しておきましょう。
(1)制震装置単体では建物の倒壊に対して弱い
制震構造は揺れを抑える効果がありますが、建物を倒壊から守るには建物自体の強さが欠かせません。
そのため制震装置だけでは限界があり、大地震に対しては十分ではありません。
倒壊を防ぐには耐震構造との組み合わせが不可欠で、「耐震+制震」によって初めて高い効果を発揮します。
(2)地盤の影響を受けやすい
制震構造は建物が地盤に接しているため、地盤の状態に左右されやすい特徴があります。
弱い地盤では揺れの吸収が十分に行えず、本来の性能を発揮できないこともあります。
新築であれば地盤調査や改良が行われるため安心ですが、既存の住宅では導入前に地盤状況を確認することが勧められます。
(3)制震装置の設置場所や数が効果に関係
制震ダンパーは設置箇所や本数によって性能が大きく変わります。
適切な位置に必要な数を配置しなければ、十分な効果は得られません。
経験豊富なメーカーや施工業者であれば、建物の構造を踏まえた最適な配置計画を提案してくれますので、導入時は業者の実績やサポート体制を確認することが大切です。
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(4)制震ダンパーの種類によって効果が変わる
制震ダンパーには「オイル式」「粘弾性」「鋼材」の3種類があります。
オイル式は小さな揺れにも反応しますが比較的費用が高め、粘弾性はコストを抑えやすい一方で温度変化に弱い、鋼材は耐久性が高いものの微小な揺れには効果が出にくい傾向があります。
特性を理解し、自宅の条件に合った製品を選ぶことが重要です。
(5)製品によっては寿命があり点検や交換が必要になる
「一度設置すれば一生安心」と思われがちですが、制震ダンパーには寿命があります。
オイル式はシール部の劣化、粘弾性型は5~10年で性能低下が見られる場合があります。
一般的には数十年の耐久性を持つものが多いですが、メーカーの保証年数や点検推奨時期を確認し、必要に応じて交換を検討することが大切です。
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(6)規格や基準が統一されておらず安全な製品を見極めづらい
耐震性能には明確な基準がありますが、制震ダンパーには統一規格がなく、メーカーごとに評価方法が異なるのが現状です。
そのため製品カタログだけでは比較が難しく、選定に迷う方も少なくありません。
導入時には第三者機関の試験データや採用実績、保証内容を確認し、信頼できる製品を選ぶことが安心につながります。
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(7)設置本数や設置場所によっては費用が高くなる
制震ダンパーの導入費用は「製品そのものの価格」だけでなく、設置本数や取り付け位置によって変わります。
外部から施工する場合は足場や外壁の復旧費が加わることもあり、コストが膨らむことがある点に注意が必要です。
一方、室内から施工できれば費用を抑えられる場合もあります。
見積もりを比較する際には「本数・設置場所・復旧範囲」まで条件を揃えることが、公平な判断につながります。
(8)メンテナンスや点検について誤解が生じることがある
制震ダンパーは「メンテナンスフリー」と言われることもありますが、必ずしも全ての製品に当てはまるわけではありません。
導入時に点検の有無や頻度を確認することが不可欠です。正しいメンテナンスを行えば長期的に安心して使用できます。
制震構造の特徴を理解して耐震性を高める方法
制震構造は地震の揺れを吸収・低減し、建物へのダメージを和らげる仕組みです。
単体での導入も効果を発揮しますが、さらに高い効果を得るためには、次の方法を検討しましょう。
制震構造の導入時には耐震もセットで検討する
制震は揺れを抑える仕組みですが、建物自体の強度を高める「耐震」があってこそ効果を十分に発揮します。
耐震等級を確保していない住宅に制震だけを導入しても、根本的な倒壊リスクを防ぐことはできません。
新築時には耐震等級2以上を確保し、そのうえで制震ダンパーを取り入れることがおすすめです。
両者を組み合わせることで、大地震の直撃や余震の繰り返しにも耐えられる住まいづくりが可能になります。
既存住宅に取り付ける場合に後付けするまでのフローを確認する
制震ダンパーは新築だけでなく既存住宅にも後付けが可能です(※製品による)。
導入の際は、段階的に手順を踏むことで安全性とコストの両立が図れます。
そのほか、制震ダンパーの後づけまでのフローを確認し、適切な施工や工期の設定に活かしましょう。
- 現地調査(図面確認・採寸・劣化状態の確認)
- 構造チェック(壁量や耐力壁の位置を把握)
- 設置計画(本数や位置、施工方法を決定)
- 施工(室内または外部から取り付け、必要に応じ復旧工事)
- 完了確認(点検方法や保証内容を共有)
「効かない・意味ない」とされる理由を確認する
「制震は意味がない」と言われる背景には、配置不足や施工不良、地盤条件の影響があります。
制震ダンパーは建物全体の揺れを吸収しますが、設置本数が足りなかったり、偏った配置になると効果を十分に発揮できません。
また、軟弱地盤では入力される揺れが大きいため、期待した効果を感じにくいケースもあります。
正しい設計と施工があってこそ性能が発揮されるため、専門家の知見を取り入れたバランス設計が欠かせません。
>関連コラム:制震ダンパーは意味ない?制震の効果と必要性を徹底検証
第三者機関が作成したデータを確認する
制震ダンパーを選ぶ際は、メーカーのパンフレットだけでなく、第三者機関による試験データの確認が重要です。
信頼できるデータは、実際の地震に近い条件で効果が検証されている証拠となります。
数字やグラフが明確に公開されている製品は、安心して長期的に導入を検討できる大きな判断材料になります。
メーカーを選ぶ際の評価軸を明確にする
制震ダンパーはメーカーごとに性能や保証内容が異なりますので、導入前に比較検討の軸を持つことが大切です。
価格だけでなく、長期的に安心して利用できるかを見極めるために、以下の点を確認しておきましょう。
- 第三者機関による試験データの有無
- 保証内容と年数(部品交換や地震後対応の範囲)
- 採用実績や施工事例の豊富さ
- 点検やメンテナンス体制の有無
- 設置計画時のサポート(配置提案や設計協力)
制震構造、よくある誤解Q&A
制震構造については「本当に効くの?」「小さな揺れでは意味がないのでは?」といった誤解や不安が少なくありません。
記事の終わりによく寄せられる質問を整理し、正しい理解につなげるためのポイントをQ&A形式でご紹介します。
質問(Q) | 回答(A) |
小さな揺れには効果がないのでは? |
制震ダンパーの種類によります。オイル系や粘弾性系は小さな揺れにも反応しやすく、繰り返しの地震によるダメージを軽減します。
|
温度変化に弱いと聞いたが本当? |
ゴムなどの粘弾性ダンパーは温度の影響を受けやすい面がありますが、近年は改良が進み安定性が高まっています。製品ごとの特性を確認しましょう。
|
繰り返しの地震では効きが落ちる? |
制震ダンパーは繰り返しの揺れに強い点が特徴です。熊本地震のような連続地震でも効果が実証されています。
|
強風の揺れにも効果はある? |
制震構造は地震だけでなく、強風や共振現象による揺れにも効果を発揮するため、日常の快適性にも寄与します。
|
まとめ│制震ダンパーの導入は特徴の把握から
>制震ダンパー施工事例(株式会社三宝工務店様・S様邸・新築工事)
制震ダンパーは、地震の揺れを吸収・低減し建物の損傷を抑える有効な装置です。
ただし種類や設置条件によって効果やコストが変わりますので、メリットとデメリットを正しく理解することが大切です。
耐震構造との組み合わせや、信頼できるメーカーや施工業者の選定を意識することで、より安心できる住まいを実現できます。
導入を検討する際は、まず特徴を正しく把握することから始めましょう。
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