複合災害(二重災害)とは?定義や発生パターン、「個人が今できる対策」も解説
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複合災害(二重災害)とは、複数の災害が連続、または同時に発生して被害を拡大させる現象を指します。
甚大な被害につながる恐れがありますので、発生前に十分な対策を講じる必要があります。
本記事では複合災害の実例を紹介した上で、発生前に備えたい具体的な対策についてもお伝えしますので、日本各地で起こる災害に対して不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
・複合災害とは、どういった特徴を持つ災害なのかが分かります。
・複合災害の発生に備えて、今私たちにできる対策が分かります。
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目次
複合災害とは?定義を確認しよう

複合災害は、国土交通省の資料の中では「複数の性質の異なる災害事象が密接にかかわりあって発生する災害」と記載されています。
具体的な災害の例としては、以下のような事象が挙げられます。
- 地震
- 台風
- 津波
- 火災
- 洪水
- 高潮 など
それぞれ単一で災害が発生する場合と比較して、被害が広域に広がり、長期化しやすい点が特徴的です。
近年、複合災害が注目されているのは、次のような背景によるものです。
- 集中豪雨など異常気象が増えている点
- 地震による被災地で豪雨被害が確認された点
- 都市部への人口一極集中による被害拡大の懸念
後ほどご紹介しますが、近年は実際に複合災害が発生していて、いずれの例も被害が深刻化している実態があります。
>関連コラム:【日本で発生する災害の種類一覧】13の災害を知って万一に備えよう
複合災害の発生パターンの例

複合災害には、発生する際のパターンがありますのでご紹介します。
地震+津波、地震+火災など「連鎖型」
1つの災害が他の災害を直接引き起こすパターンが連鎖型です。
たとえば、地震の発生によって津波が引き起こされるケース、地震の揺れによるガス管破損、漏電の発生により火災が引き起こされるケースが該当します。
一定の範囲に複数の災害が発生することから、被害が深刻になりやすい特徴があります。
豪雨+土砂崩れ+停電など「同時多発型」
同時多発型の災害は、複数の災害が同時期に重なることで被害が広範囲に及ぶ特徴があります。
たとえば豪雨によって、河川の氾濫や土砂崩れ、停電といった事象が同じ地域で発生するケースが挙げられます。
地震+大雨・土砂災害など「時間差型」
時間差型は、災害の影響が残る中で、後から別の災害が襲来するタイプの災害を指します。
ひとつ目の災害で建物の損壊や道路の寸断が生じている状況下で、時間差で他の災害が加わることで、単一の災害では被害を受けない地域、建物でも被災する特徴があります。
揺れによって倒壊、損壊したところに他の災害が加われば、さらなる被害を受けてしまいます。
揺れによる損傷を避けたい方は、建物への揺れのダメージを軽減する「制震ダンパー」の利用がおすすめです。
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過去に起きた複合災害の実例

ここまでご紹介した複合災害、日本でも過去に発生していますので、実例としてご紹介します。
能登半島地震と大雨
2024年に発生した能登半島地震は、震度6強から7クラスの地震によって、住宅の倒壊や道路の寸断、断水といった事象が発生した災害です。
地震による災害の後、2024年9月にも能登半島では豪雨が発生し、土砂災害や家屋の損壊といった被害につながりました。
- 地震による地盤の緩み
- 大雨による土砂崩れや斜面崩落
- 道路の寸断による集落の孤立化
地震および時間差で発生した大雨によって、被害が拡大した事例とされています。
>関連コラム:【能登半島地震】なぜ建物の倒壊被害が多かったのか?今後に備えてできることとは
東日本大震災と津波、原発事故、停電
2011年に発生した東日本大震災では、地震と連動して津波が発生し、広い範囲で建物の流失被害が生じるなど、大きな被害が生じました。
また、津波による浸水で原子力発電所の事故が発生するなど、他の災害にもつながっています。
地震と津波、連鎖的に発生した災害であり、また原子力発電所という人工物が二次被害を招いた事例といえます。
>関連コラム:東日本大震災の恐怖がよみがえった日【2021年2月13日】
今後:南海トラフ地震+富士山噴火など
これから発生する地震についても、複合災害が発生する可能性はあります。
たとえば、30年で%で発生すると予想されている南海トラフ地震ですが、富士山の噴火が連動するケースも想定されています。
南海トラフ地震や津波によって被害を受けた地域に対して、降灰による通行不能、停電といった事象につながる恐れがあります。
>関連コラム:地震はいつ起こる?南海トラフ、首都直下など、発生確率や時期、今できる備えも解説
複合災害の発生に備える5つの方法解説
では、こうした複合災害の発生に備えて、どういった対策を取ればよいのでしょうか。
以下5つの方法から、ご自身に合う対策を取り入れてみましょう。
- ハザードマップで災害リスクを確認する
- 国や自治体が進める対策を確認する
- 住まいの強靭化(耐震、防水、耐火など)を図る
- 家庭での防災対策(備蓄、避難想定など)を検討する
- 企業でのBCP対策を検討する
ハザードマップで災害リスクを確認する
まず行いたいことは、ハザードマップによって災害リスクを確認することです。
お住まいの自治体のホームページには、上の図のように地震による揺れ、津波、洪水といった災害でどの地域が被災する可能性があるのか、ハザードマップが整えられています。
ご自宅や生活圏内でどういった被害が想定されているのか、確認することが最も重要です。
また、国土交通省が運用している「重ねるハザードマップ」では、複数の災害を重ねて見ることも可能ですので、さらに効率的に複合災害のリスクを確認できます。
国や自治体が進める対策を確認する
大規模な災害については、国や県、市町村もそれぞれ対策を進めています。
- 津波避難タワーなど緊急避難用の設備
- 南海トラフ地震臨時情報のような監視、通知体制の強化
- 複合災害を想定したシナリオ型防災訓練
- 大規模災害に備えた広域連携の取り組み など
こうした取り組みは、国や地方自治体が主導して実施していますが、内容を知っているかいないかで、複合災害に遭遇した場合の対処の仕方に差が出ます。
たとえば南海トラフ地震臨時情報には、「調査中・巨大地震警戒・巨大地震注意・調査終了」といった状態があり、取得する情報によって私たちが取るべき動き方も変わります。

住まいの強靭化(耐震、防水、耐火など)を図る
個人でも取り組める複合災害対策としては、ご自宅の強靭化も重要です。
ご自宅が倒壊、深刻な損傷を受けてしまった場合、その他の対策を取っていても意味がありません。
- 耐震等級3を取得する
- 制震技術を導入する
- 免震技術を導入する
- 津波や洪水被害に備えてリビングを2階に設ける
- 地震火災に備えて防火性の高い建材を利用する
このように、地震や各種水害、周辺からの延焼対策を取ることで、ご自身とご家族の命を守れるようにしましょう。
>関連コラム:地震に強い家の形、特徴とは?構造・間取り・地盤まで徹底解説【耐震・制震・免震の違いも紹介】
複数回発生する地震に対しても何度でも効果を発揮しますので、余震の回数が多い地震に対しても効果を期待できます。
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家庭での防災対策(備蓄、避難想定など)を検討する
ご自宅の災害対策を進めつつ、その他の防災対策にも取り組みましょう。
- インフラの停止に備えて発電、蓄電設備を導入する
- 物資の供給停止に備えて食料や日用品を備蓄する
- 被災時に逃げ込むべき避難所を想定する
- 家族がバラバラになっているときに備えて連絡手段を取り決める
こうした対策を事前に備えることで、各種災害に遭遇した場合に命を守れる可能性が高まります。
また、被災後に自宅で過ごす「在宅避難」ができるようになり、避難生活のストレスを軽減することにもつながります。
>関連コラム:自宅でできる地震対策20選|新築、リフォーム、賃貸住宅やマンションでの対策も一挙紹介
企業でのBCP対策を検討する
会社経営者やアパート、マンションの経営者など、事業を営んでいる方は、複合災害に備えたBCP対策の取り組みも検討しましょう。
BCPとは、被災後も事業を継続するための取り組みを指しています。
- 店舗への地震対策や什器などの固定
- 事業を継続するための設備機器の導入
- 避難経路の確保など従業員の安全対策
- 被災後の仕入れなどサプライチェーンの確保
このように、被災後も事業を継続すること、また事業へのダメージが最小限に抑えられるように、平時の今こそ対策を検討しましょう。
>関連コラム:企業・店舗・お店の地震対策11選│大地震に備えるべき理由も紹介
まとめ│複合災害の発生を前提に備えよう
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>制震ダンパー施工事例(株式会社くらしのリーザ様・M様邸【愛知県】)
地震と津波、台風など、複数の災害に遭遇する複合災害(二重災害)について解説しました。
単体で発生する災害と比較して、範囲も被災の程度も大きくなりがちな複合災害は、何も起きていない今こそ備えが必要です。
まず実施するべきは、お住まいの地域において、どういった災害が発生する可能性があるのかといった確認のほか、倒壊や大規模損壊を避けるべく、ご自宅の耐震性を高めることです。
耐震化は当然のこととして、複数回発生する余震にも耐える家になるよう、「制震技術」など異なる地震対策も組み合わせて複合災害に備えましょう。
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