制振ダンパーはどのような評価を基準に選ぶべき?

制振ダンパーはどのような評価を基準に選ぶべき?

地震対策は耐震だけでは十分でないらしい、費用も比較的リーズナブルであることから制震(制振)ダンパーの導入を検討しているけど、費用対効果はどれくらい?そもそも免震と制振の対策はどの程度必要なの?といった疑問を持つ方も少なくありません。

今回は地震対策として制振ダンパーはどのような評価基準で選ぶべきなのか、費用対効果も含めて参考になる論文を紹介しながらお答えします。

この記事を読んだらわかること

・制震(制振)ダンパーの導入を検討する際の基本的な考え方

・制震(制振)ダンパーの導入費の目安は建築費の3.7%程度、維持費などを含む費用対効果は約1,000万円のコスト削減効果があると試算されている

地震に強い家に必要な対策

地震に強い家

耐震は地震に強い家に必要な必要最低限の地震対策であり、日本の建築基準法において義務付けられている地震対策です。

しかし、住宅の持つ耐震性の高さには大きな幅があります。それは耐震等級の差だけではありません。耐震等級のうち、長期優良住宅の認定条件にもなる等級3以外には、構造計算が法律上では義務付けられていないからです。構造計算を基に設計された住宅とされていない住宅では、同じ耐震等級であっても耐震性の高さに大きな違いがあります。

さらに構造計算には簡易な壁量計算と、複雑な許容応力度計算があり、許容応力度計算を基に設計された住宅の方が確実に高い耐震性を備えることができます。 ではそれだけで地震対策は十分なのでしょうか?残念ながら十分ではありません。

その理由は耐震が地震に耐えて倒壊を防ぐためのものだからです。もちろん地震に耐えられる能力は絶対に必要であり、欠かすことはできません。そして耐震性の高さは耐えられる地震の大きさによって上がっていきます。

ただし、どんなに耐震性が高かったとしても、地震の揺れを小さくする能力はありません。その為、地震の揺れを受ける度に、住宅は目には見えなくても揺れからの影響を受けます。そしてその影響はダメージとして住宅に蓄積されていきます。

日本は地震の多い国なので、海外に比べ人々は地震に慣れています。震度1,2程度の地震ではそれほど大騒ぎしないことでしょう。震度3~4でも目に見える被害が生じないケースも多いと思います。ただ、こうした小さな揺れから受ける影響が度重なり、蓄積されていくと長年の間には住宅に歪みが発生します。

その結果、もともとの耐震性が少なからず損なわれてしまう恐れがあります。そのような状態になった時に大地震が発生してしまうと大きな被害を受けてしまいます。 大地震が発生すれば、もともとの耐震性が維持されていた住宅であっても、揺れに大きな影響を受けます。

耐震性が高く目に見える被害がなかったとしても、余震があったり、数か月後、数年後に再度大きな地震が発生したりすると、1度目の地震で受けた影響が耐震性を低下させている為、大きな被害に繋ってしまいます。

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そこで必要なことが揺れを吸収して住宅に与える揺れの影響を小さくするという制振です。制振ダンパーの中でもオイルダンパーは、小さな揺れにも反応して揺れを吸収するので、日常的に頻発している小さな地震の揺れによる影響が蓄積されません。

もちろん大きな地震が発生した際には、揺れを吸収し住宅に与える揺れの影響を抑えます。その結果、住宅に揺れによるダメージを蓄積させません。地震に強い家に必要な対策とは、高い耐震性と小さな揺れにも反応するオイルダンパーという制振ダンパーの組み合わせです。

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制振ダンパーに対する費用対効果を考えた上での評価

制振ダンパーを取り付けた住宅

制振ダンパーを取り付ける為には住宅の規模によって異なりますが、一般的な規模の住宅では、およそ数十万円から100万円弱の費用がかかります。この費用は300~500万円の費用がかかる免震という地震対策より少ない費用とは言え、簡単に決断できる金額ではありません。

そこで気になるのは、制振ダンパーの費用対効果です。地震対策にかかるコスト、住宅の維持保全にかかるコスト、地震被害修復コスト、解体・処分コストを比較した上で、どの程度の費用対効果があるのかを調査した論文がありますので参考にしてみましょう。

<参考資料>戸建住宅における免震・制震装置のライフサイクルコストを考慮した費用対効果

IC イニシャルコスト
延床面積40坪、一階床面積20坪の木造住宅の新築時、制振装置(オイルダンパー)は80万円/棟、免震装置は(a)転がり系の場合360万円/棟、(b)すべり系の場合260万円/棟と推定された ICのみを考慮する場合、制振装置は建物コストの 3.7%、免震装置は転がり系で建物コストの16.7%、すべり系で12.1%と推定される。  

RC ランニングコスト(維持保全+ 修復費用)
建物耐用期間中の地震修復コストなども含めて、 ランニングコスト(RC)として判断すると、制振・免震装置の経済的な利点は高いといえる。RCは小地震を想定した場合はほぼ差がない。

大規模地震を想定した場合は、(略)各都市ともRCは、一般住宅に比べ、制振住宅が約22%の約1000万円(の削減)、免震住宅が約35%の約1700万の削減となる。  

LCC ライフサイクルコスト  

建物耐用期間中のLCC(ライフサイクルコスト)を考えるとIC(イニシャルコスト)は、ほんの一部分に過ぎないといえる。

一般住宅ではRC(ランニングコスト)がLCCの約70%を占め、ICの2倍以上となっている。その中でも地震修復コストの占める割合が非常に大きい

しかし、制振・免震住宅は、地震修復コストが大幅に低減され、一般住宅に比べ、LCCに占めるRCの割合が少なく、地震の規模が大きいほどその傾向が顕著に表れる。

大規模地震の場合LCCは、一般住宅に比べ制振住宅は約14%の1000万円(のコスト削減)、免震住宅は約20%の1400万円のコスト削減となる。

  引用:戸建住宅における免震・制振装置のライフサイクルコストを考慮した費用対効果  

以上から、制振ダンパーの費用対効果は以下のように推計されています。

制振装置のイニシャルコストは、建物コストの 3.7%程度
・住宅の維持におけるランニングコストは、地震修復コストが大幅に低減され、約22%の約1000万円の削減
・解体まで含めたライフサイクルコストは、一般住宅より約14%(1000万円)程度のコスト削減

このように、上記研究論文によれば、制振ダンパーは、建築時のイニシャルコスト(建物コストの3.7%程度)に対して、維持費・解体まで含めたトータルでみると1,000万円程度のコスト削減効果が見込まれ、高い費用対効果があると言えるでしょう。

制振ダンパーへの評価と必要性

費用対効果の面では制振ダンパーの必要性は先ほどご紹介した論文の通りですが、では実際にどの程度の効果があるのでしょうか。

制振ダンパーが木造住宅に使われるようになってからはまだ日が浅く、実際の地震での検証結果がまだ少ないことから、各メーカーとも公表数が多くはありませんが、以下に、研究機関による評価と、メーカーによる被災前・被災後の事例で確認してみましょう。

 

制振ダンパーの性能試験:『岐阜県立森林文化アカデミー』での検証結果

『岐阜県立森林文化アカデミー』での性能試験 出典:岐阜県立森林文化アカデミー 木造建築スタジオ 小原勝彦博士の実証試験報告書より
概要:構造用面材真壁仕様の在来工法軸組試験体に『αダンパーExⅡ』を設置し動的加力試験を実施、せん断耐力をダンパーなしと比較。


考察:構造用合板のみの場合より、ダンパーを設置することによりエネルギー吸収量が2本設置で約30%、4本設置で約60%向上。その効果は、微小な変形時より認められます。在来工法、ツーバイフォーの住宅への効果が実証されています。


内容:岐阜県立森林文化アカデミー木造建築スタジオ小原博士の研究チームによって行われたこの実証実験では、地震の揺れのエネルギーを吸収する量が2本で30%、4本で60%も向上することが確認されました。

 

震度7相当の地震の揺れを想定:『起振器』による実棟性能試験の結果

『起振器』による実棟性能試験 出典:株式会社トキワシステム実験棟性能試験報告書より

概要:在来軸組工法・2×4工法の実棟で、ダンパー設置前と設置後の変形を計測し、震度7相当時の変形量をシミュレーションしました。

考察:『αダンパーExⅡ』を設置することにより、設置前より変形を約1/2に低減することを確認しました。在来軸組工法・2×4工法を問わず、効果が発揮できることを確認しました。

検証結果を出しているメーカーの製品は効果の確実さという意味から評価できます。

コラム 制振ダンパーはどこがいいの?メーカーや製品を選ぶ目安を知りたい

 

メーカーによる制振ダンパーの被災前・被災後の検証結果

また、制振ダンパーが木造住宅に取り付けられるようになった短い期間に発生した地震で、制振ダンパーを取り付けた住宅がいかに被害を受けなかったかという事例も、制振ダンパーの効果を評価する上で参考になります。

2018年6月の大阪北部地震(震度6弱)で制振ダンパーが取り付けられていた結果、被害のなかった住宅の様子です。このような実際の事例を掲載しているメーカーの事例を参考にするとよいでしょう。 大阪北部地震(震度6弱)で被害の無かった制振ダンパーを取り付けた住宅

Zelkova Design株式会社様・O様邸【大阪府高槻市】

  地震はいつ発生するかわかりません。しかし、一度被災してしまったら、生活再建には莫大な費用がかかります。地震保険でも十分な補填ができないケースも多々あります。地震対策は家族の命と財産を守り、一生涯安心して暮らせる住まいは一生の宝物になるのです。

大切なあなたの家族を守りたい制震ダンパー「αダンパーExⅡ」―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。 恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。 トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震住宅の弱点を補いつつ建物の倒壊防止に効果を発揮します。

多くの研究機関で実証

「αダンパーExⅡ」は、東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアして、その効果が認められています。

16,000棟以上の導入実績

「αダンパーExⅡ」は、木造住宅用の油圧制震ダンパーとして信頼と実力No.1で、16,000棟以上の供給実績があります。これからもより多くのお住まいを地震や自然災害から守り続けていきます。

グッドデザイン賞を受賞

制震装置「αダンパーExⅡ」は、2021年度グッドデザイン賞(主催:公益社団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。

低コストで高い効果

耐震工法+αダンパーEXの効果検証データ

「αダンパーExⅡ」は、『免震』工法に比べて、施工効率が高く、低コストでの設置が可能です。『耐震』工法では、対応できない繰り返しの地震にも有力です。 耐震性の優れた住宅に制震ダンパーをプラスして、より安心・安全な住宅を目指してみませんか? 技術力の高いトキワシステムが提供する安心・高品質な制震ダンパー 「αダンパーExⅡ」 であれば、住宅をしっかりとサポートします。 ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」製品紹介

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」製品サポート

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」よくある質問

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021