制震ダンパーとは?その種類や特徴について解説

地震対策に欠かせない制震(制振)装置αダンパーExⅡの外観
地震大国日本では地震に強い家づくりが求められます。
耐震・制震・免震などの地震対策がある中、コストパフォーマンスが良く導入しやすいことから、木造住宅にあった制震装置「制震(制振)ダンパー」を設置する住宅が増えています。
そこで今回は、制震(制振)ダンパーとは何か?意味と効果、種類と特徴、メリット・デメリット
についてわかりやすく解説します。
新築・既存住宅の地震対策を検討されている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

制震(制振)ダンパーとは?

制震(制振)ダンパーとは、建築物の地震対策に欠かせない制震(制振)装置です。地震や台風などに起因する建築物や構造体の振動を吸収し、変形や損傷を抑えることができます。

地震等で発生する揺れのエネルギーをダンパーという装置が油圧やゴムの弾力性などを利用して吸収する仕組みです。住宅においては、主に地震対策として新築・リフォームの際に、壁と柱の接合部などに設置します。

年間1,000件を超える地震が発生する日本では、将来発生が予測される大地震への備え、余震や頻発する中規模地震による損害リスクを抑えるための地震対策として近年、導入が進んでいます。

大手ハウスメーカー・地域工務店での施工実績を含めると、日本全国で1万7,000棟を超える住宅等で導入されています。

 

導入のメリットと留意点

制震(制振)ダンパーを設置することで、地震や台風などの揺れによる建物の変形や損傷だけでなく、建物の構造体(基礎部分等)にもダメージが伝わりにくくなるため、建物や構造体の耐久性を高める効果が期待できます。

地震対策には、「耐震」「制震(制振)「免震」という3つの考え方がありますが、制震(制振)は、「耐震」だけの場合よりも建物の耐久性を高めることができ、「免震」よりも低コストで、設置・施工もしやすいといったメリットがあります。

制震(制振)ダンパーは、種類によっては新築時にしか設置しにくいものがあったり、設置台数分の費用が発生するというデメリットもありますので、建物の状況・構造・地盤などに応じて最適な製品を選定し、オーダーメイドで必要な場所に必要な台数を導入する必要があります。

制震(制振)ダンパーの効果性

地震で最も恐ろしいことの1つが、建物の倒壊です。倒壊は建物の構造部への直接的・間接的なダメージが要因となります。倒壊による被害は、生命が脅かされるだけでなく、建物の再建費用や生活費など被害額も膨大なものとなります。

制震(制振)ダンパーは、何度も繰り返される地震などの揺れによる建物の構造体へのダメージを抑制し続けることで、建物の耐久性を維持し、倒壊リスクの軽減、家財等の破損防止、生活再建も含めた損害の低減などの効果が期待できます。

制震(制振)による地震対策は、地震大国日本の住宅には欠かせない重要かつリーズナブルな選択肢の1つと言えるでしょう。

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制震(制振)ダンパーは意味がない?その必要性と効果性は?

制震(制振)ダンパーの導入を検討する際は、「建物が耐震基準をクリアしていれば十分では?」「小さな揺れでも効果があるの?」といった疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、建物が耐震基準をクリアしているだけでは地震対策としては十分ではありません

建築基準法に準じ、耐震性能も兼ね備えた住宅でも、近年の大地震での倒壊や内部破損で居住できなくなった住宅が多数存在します。これはその後の地震や暴風などによる建物の繰り返しの揺れにより、耐震性能が低下してしまうことがあるからです

この繰り返しの揺れの対策として威力を発揮するのが、制震(制振)装置=制振(制震)ダンパー」です。度重なる揺れを何度も吸収して衝撃を軽減することで、住宅の構造部へのダメージを抑える働きを持っているのです。

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もちろん、新築・リフォーム・リノベーションなどの際に制震(制振)ダンパーを設置するだけではなく、住宅の耐震性能も重要です。仮に耐震性能が著しく低い住宅に、制震(制振)ダンパーを設置しても、倒壊リスクは軽減できるものの、制振装置の本来の効果を十分発揮するのは難しいでしょう。

制震(制振)装置の効果を最大限に発揮するためには、住宅の状況に応じた耐震工法を施したうえで、効果性の高い制震(制振)ダンパーの適切な選定を行い、必要十分な施工計画を策定してから導入することをおすすめします

既存住宅のリフォームやリノベーションの際に、制震(制振)ダンパーの導入を検討される場合は、株式会社トキワシステムの「αダンパーExⅡ」などの制震(制振)効果が実証されている制震ダンパーであれば、施工時に構造体の仕口の補強を兼ねることができるため、建物の破損リスクをより低減することが可能です。なお、建物の形状・地盤・工法によって期待効果が異なる場合がありますのでご留意ください。

制震(制振)ダンパーの効果を示した図

耐震工法で建てられた住宅に制震ダンパー『αダンパーExⅡ』 を設置すると、大きく地震の揺れが軽減されることがわかる。※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略。柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなる。

「小さな揺れにも効果はあるの?」と思われるかもしれませんが、制震(制振)ダンパーのうち、「オイル(油圧)ダンパー」であれば小さな揺れでもその効果は十分に発揮できます。

制震(制振)ダンパーと一口に言っても、いくつかの種類があります。それぞれ期待効果が異なりますので、以下に制震(制振)ダンパーの種類と特徴について詳しく解説します。

 

制震(制振)ダンパーの種類と特徴

制震(制振)ダンパーには、ゴムダンパー、鋼材(こうざい)ダンパー、オイル(油圧)ダンパーの3種類があります。主に使用している素材などが異なります。

それぞれの種類の特徴、メリット、デメリットとその対策をご紹介します。

ゴムダンパーとは

特殊な粘弾性のゴムを制震ダンパーに入れて、地震の揺れに対して伸び縮みさせることで、地震の力を熱の力に変えてダンパーに吸収する仕組みです。

ゴムダンパーのメリット

  • 繰り返される地震に有効

ゴムの性質上、伸び縮みするとゆっくりともとに戻る性質のため、何度も繰り返し起きる地震に効果を発揮します。

ゴムダンパーのデメリット

  • 気温による変化に弱い
  • 間取りに制限がある

ゴムダンパーは寒され堅くなり、高温になると伸びる性質があります。気温差が大きい場合は劣化につながります。
また、基本大型であることが多いため、施工できる場所に制限があります。

  • 人手が必要

施工にあたっては2~3人の人手が必要になります。

ゴムダンパーは後付けにすると工事が大がかりになる場合が多いため、新築時に導入する必要があります。

鋼材ダンパーとは

金や銅など、金属を用いて作成したダンパーを、総じて鋼材ダンパーといいます。

金属が曲がる時の力を熱エネルギーに変えることで、地震の揺れを軽減する仕組みとなっています。

鋼材ダンパーのメリット

  • 安値で導入可

他ダンパーと違い、金属を組み合わせただけのシンプルな構造のため、比較的安値で取り入れられます。

  • メンテナンス不要

メンテナンスも不要なため、気軽に取り入れやすいといえるでしょう。

鋼材ダンパーのデメリット

  • 小さな揺れには効果がない

熱エネルギーに変換される強さの揺れが来るまでは、制震ダンパーとして効果を発揮することができません。そのため大地震に備えて施工するタイプです。

台風などの暴風による揺れや火山性の振動など小さな揺れが連続する場合などの対策には、オイルダンパーなども選択肢になるでしょう。

  • 耐久性が低い

金属で製作しただけのシンプルな構造のため、何度も繰り返し変形してしまうと金属疲労が生じて破損するリスクがあります。

リスクを回避するには、地震保険が適用になるような比較的規模の大きい地震があった場合や、住宅が老朽化してきた際には専門家に依頼して念のため金属疲労を起こしていないか点検をしておくとよいでしょう。

オイル(油圧)ダンパーとは

内部に補てんしているオイルの抵抗により揺れ(ショック)を吸収する仕組みです。車の乗り心地を良くするための「ショックアブソーバー」の技術を応用しています。

ゴムダンパー、鋼材ダンパーと比較して、小さな揺れから効果を発揮し、小型であるため施工も容易である点が特徴です。

オイルダンパーのメリット

  • 小さな揺れから大きな揺れまであらゆる揺れに効果を発揮

オイルダンパーは前述の車の振動を吸収する技術を採用しているため、小さな揺れから大きな揺れまで対応が可能です。
また、地震だけでなく、近年増加している台風などの強風に対しても効果を発揮します。
小さな揺れから大きな揺れまで効果を発揮する株式会社トキワシステムの制震(制振)ダンパー「αダンパーExⅡ」の効果性については以下のような実証結果があります。

制振ダンパーの実証実験の結果の図

出典:岐阜県立森林文化アカデミー(建築学科・小原勝彦博士)にて『制振材料付き耐力壁試験』(動的加力試験)

トキワシステムの制震(制振)ダンパーαダンパーEXⅡを設置した場合、地震の揺れを4本で60%多く吸収して、建物の構造材の変形を少なくすることができます。地震の揺れ始め(図の左側)から効果が発揮されているのがわかります。

  • 間取りに制限なし

最も揺れやすい建物の外周りに分散して設置するため、大型のダンパーと違い基本的に間取りに制約はありません。

  • 後付けが可能

オイルダンパーは施工が簡単です。主に木造住宅の柱と梁の接続部分に設置するため、既存住宅のリフォームやリノベーションの際に後付けも可能です。新築時はもちろん後付けするならオイルダンパーがおすすめです。

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オイルダンパーのデメリット

  • 本数が必要

他ダンパーに比べると小型のため、建物全体をカバーして十分な効果を発揮するために、ある程度の本数が必要になります。建物の状況によって導入本数が変わり総費用が変動する点には留意が必要です。

オイルダンパーのコストパフォーマンスを最適化するには、専門家のアドバイスを受けながら必要な場所に必要数を確保して設置するとよいでしょう。

導入実績が多く、第三者機関での検証データが多い制振ダンパーメーカーは設計プランの知見も豊富です。制振ダンパーは専門の設計スタッフと相談しながら導入を検討することをおすすめします。

制震ダンパー『αダンパーExⅡ』の導入時は、専門設計スタッフが建物の状況を踏まえ、きめ細やかな配置計画を行なっています。施工会社が住宅の制震性能を効果的に高める配置、梁や金物干渉の有無などを含めてプランを検討してくれます。

株式会社トキワシステム サポート内容 ダンパー配置計画

まとめ:地震対策に欠かせない制震(制振)ダンパー。特徴を理解して信頼性の高い装置を選ぼう

制震ダンパー

今回は制震(制振)ダンパーとは何か?その効果性や種類と性能について解説しました。

制震(制振)ダンパーは、地震対策に欠かせない制振装置です。新築住宅はもちろん、木造の既存住宅のリフォーム・リノベーションの際にも導入が可能です。

制震(制振)ダンパーにはいくつかの種類があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。中でもオイル(油圧)ダンパーが地震対策として有効です。

大切なご家族を地震災害から守るためには、ご自宅の状況、地盤や倒壊リスクなど地域の事情に応じた検討が必要です。住宅での導入実績が多く、第三者機関等で効果が実証されている信頼性の高い制震(制振)ダンパーを選び、専門家に相談しながら導入することをおすすめします。

 

地震大国日本で大切な家族を守るためにトキワシステムの「αダンパーExⅡ」を―KEEP YOUR SMILE―

地震大国と呼ばれる日本では、繰り返される大規模地震や余震への対策が大きな課題とされています。

家族の安心を守るためには、新築・既存住宅を問わず制震ダンパーなどの制振装置を導入することにより、地震などによる建物の揺れをしっかり抑え、ダメージを減らし建物を守ります。

制震(制振)ダンパー「αダンパーExⅡ」の外観

制振ダンパー「αダンパーExⅡ」を導入した場合、最大55%の地震の揺れを吸収します。

繰り返しの地震にも強く、小さな揺れからもその効果を発揮することが特徴です

18,000棟以上の供給実績、東海地区No.1の採用数で培った知識やノウハウが活きてくるのです。

家族の生命と財産を守る住宅を目指して「αダンパーExⅡ」がしっかりとバックアップします。

耐震住宅に制振αダンパーExⅡをプラスしてみませんか。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました

αダンパーExⅡが「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました

 

 

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021