これまでの大規模地震による建物被害のまとめ|地震に強い家を建てたい

地震の多い日本において、これからマイホームを建てる人は誰もが「地震に強い家を建てたい」と考えていることでしょう。

日本はこれまでも数多くの地震による被害を受け、それらを教訓として地震対策を行ってきたという歴史があります。

特に建物被害においては、耐震基準の改正など過去の地震被害を基に改正を重ねてきました。

そこでこのコラムでは、過去に大規模地震によってどのような建物被害があったかをまとめるとともに、最新の住まいへの地震対策についてお伝えします。

これからマイホームをお考えの方はもちろん、今お住まいの家への地震対策としてもぜひお役立てください。

この記事を読んだらわかること

・過去に日本で起きた大規模地震による建物被害について知ることができます。
・地震に強い家にするための方法を知ることがでいます。

 

地震の震度とマグニチュード

地震の大きさを表す用語に「震度」と「マグニチュード」があります。

これらは地震速報などでも表示されますが、それぞれに次の内容を表しています。

  • 震度:ある場所での地震による揺れの強さ
  • マグニチュード:地震そのものの大きさ(規模)

震度は、ある場所での地震による揺れの強さをあらわし、マグニチュードは地震そのものの大きさ(規模)をあらわします。

引用:気象庁HP

また、地震が起きた際、マグニチュードが大きい=震度が大きいとも限りません

震度は「その場所において」の揺れの強さを表すため、地震のマグニチュードが大きくても、震源から遠いところでは震度は小さくなります。

震度と震度階級

出典:気象庁HP

日本での震度は1996年(平成8年)4月1日より「気象庁震度階級」によって表され、震度0~7(0・1・2・3・4・5弱・5強・6弱・6強・7)までの10段階に分けられています。

それ以前は体感による観測で震度が決められていましたが、現在は全国に設置された「計測震度計」によって地震が起きると自動的に震度が観測されています。

海外に目を向けると国によって異なる震度階級を用いており、震度を1~12の12段階に分けているものが多く、「改正メルカリ震度階級」「メドヴェーデフ・シュポンホイアー・カルニク震度階級」「ヨーロッパ震度階級」「中国震度階級」などは12段階に分けられています。

また、台湾の「中央気象局震度階級」では日本とよく似た10段階の震度階級が用いられています。

マグニチュードの基準

地震の規模を表すマグニチュードですが、日本では「気象庁マグニチュード(Mj)」「モーメントマグニチュード(Mw)」の2種類を主に用いて算出しています。

マグニチュードの算出方法は大きい意味で世界で共通していますが、国際的な規格は存在していません

元々算出が難しく各国で計算式や地震観測網が違うため、報道で見る海外の地震のマグニチュードが同じ地震なのに少し違っている場合もあります。

中規模地震・大規模地震とは

地震の規模について、主に建物の構造検討において「中規模地震」や「大規模地震」と表現されることがあります。

ではこうした中規模地震、大規模地震とはどのような地震のことを指すのでしょうか。

先ほどお伝えしたように、地震の規模はマグニチュードで表されますが、この場合は震度を目安として表現されています。

建築基準法や耐震基準において中規模地震や大規模地震の関係ははっきりと明記はされていませんが、一般的に

  • 中規模地震:およそ震度5強程度の地震
  • 大規模地震:およそ震度6強~7程度の地震

と、このように想定されています。

なお、現行の耐震基準(通称:新耐震基準)では、

  • 中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じない
  • 極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない

ということを目標としています。

震災とは

「震災」とは地震によって引き起こされた災害のことを指す言葉であり、地震の震度やマグニチュードで単純に測れるものではありません。

通常、ある特定の地震によって引き起こされた大規模な被害を伴う災害に対して、震災と名付けられます。

例えば、2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」が引き起こした災害の名称が、「東日本大震災」です。

ちなみに地震による強い揺れや津波が起こっても、その場所に住んでいる人がいなければ震災とは呼ばれません。

反対に、比較的弱い揺れや津波であっても大きな被害が生じ、震災となることもあります。

日本で起きた大規模地震と建物被害のまとめ

地震が多い県はどこ?

これまで日本で起きた大規模地震による震災では、多数の死者・重軽傷者などの人的被害をはじめ、甚大な被害がもたらされました。

その中でも特に被害の大きかった大規模地震や震災の建物被害についてまとめました。

年度 地震名/震災名 マグニチュード 最大震度 建物被害
1923年 関東地震/関東大震災 7.9 6 住宅全壊 約109,000棟
1995年 兵庫県南部地震/阪神・淡路大震災 7.3 7 住宅全壊 104,906棟
住宅半壊 144,274棟

住宅一部損壊 390,506棟
2000年 鳥取県西部地震 7.3 6強 住宅全壊 435棟 
住宅半壊 3,101棟
2003年 宮城県北部地震 6.4 6強 住宅全壊 1,276棟
住宅半壊 3,809棟
2004年 新潟県中越地震 6.8 7 住宅全壊 3,175棟
住宅半壊 13,810棟
住宅一部破損 103,500棟
2011年 東北地方太平洋沖地震/東日本大震災 9.0 7 住宅全壊 129,391棟 
住宅半壊 265,096棟
住宅一部破損 743,298棟
2016年 熊本地震 7.3 7 住宅全壊 8,668棟
住宅半壊 34,718棟
住宅一部破損 162,557棟
2018年 北海道胆振東部地震  6.7 7 住宅全壊 156棟
住宅半壊 434棟
住宅一部破損 4,068棟

このように、過去に起きた震災と、現行の震度階級になってからの大規模地震(震度6強~震度7)の地震をピックアップしてみても、住宅の全壊、半壊、一部損壊等の被害は膨大な数に上っていることがわかります。

なぜ兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)で建物被害が多かったのか

兵庫県南部地震 建物倒壊の様子
兵庫県南部地震の様子

上記表からわかる通り、住家の全壊・半壊の数が著しく多く、一部損壊も含めると非常に多い被害数になっています。

兵庫県南部地震では、亡くなられた方の死因の約8割「家屋、家具類等の倒壊による圧迫死と思われるもの」という調査結果がでています。

この地震による建物被害の多さにはさまざまな要因がありますが、建物の倒壊被害は現在の耐震基準を満たしていない昭和56年(1981年)以前に建てられた建物に被害が集中していたという調査結果があります。

建築工法の根本的な古さや築年数、木材の老朽化が主な原因と考えられています。

築年数の古い木造家屋で壁量の少ない建物への被害や、屋根瓦と2階部分の重みで1階の柱が折れて家屋が潰れる被害も多くみられました。

2階以上の建物で、1階部分に壁を設けておらず柱だけの空間にしているいわゆるピロティー形式の建物の被害も多くみられました。

外見上は損傷がなくとも、基礎部分を含む主要構造部に致命的な損傷を受けた形跡が見られたということです。

鉄骨系住宅に関しても、柱脚の被害や梁柱の接合部の被害が目立ちました。

こうした建物の倒壊被害が非常に多かった兵庫県南部地震を教訓に、旧耐震基準で建てられた建物の耐震化工事の推進への取り組みのほか、平成7年10月27日には「耐震改修促進法」(建築物の耐震改修の促進に関する法律・平成7年法律第123号)が施行され、建物の耐震性の強化が図られています。

なお、国土交通省によると、住宅の耐震化率は約87%(平成30年現在)、耐震診断義務付け対象建築物(不特定多数の方が利用する一定規模以上の建築物等)の耐震化率は約90%(令和4年現在)となり、確実に耐震化は進んでいます。

なぜ東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で建物被害が多かったのか

地震被害イメージ

兵庫県南部地震の発生後、国を挙げて建物の耐震化が進んでいく中、その後の効果も徐々に現われてきていると言われています。

そんな中、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では建物被害が再び甚大でした。

これは地震によって未曾有の津波が起こり、それによって建物が広範囲で流されてしまうという被害が大きかったためと考えられています。

震災後に行われた浸水区域を対象とした調査によると、津波によって全壊した建物は約120,000棟に上るという結果が出ています。(出典:国土交通省資料

この震災全体での住宅全壊被害は 129,391棟であることからも、ほとんどの建物が津波によるものと考えられ、津波がいかに甚大な被害をもたらしたかがわかります。

なぜ熊本地震で建物被害が多かったのか

被災した熊本城-熊本地震データアーカイブ
地震後の熊本城

耐震化が進みつつある2016年に起きた熊本地震でも、住宅全壊などの建物被害が深刻な数字となっています。

一体なぜでしょうか。

熊本地震では最大級に位置付けられている震度7の地震が立て続けに2回も観測されるなど、過去に例を見ない大きな地震が起きたことによって甚大な建物被害が発生したとみられています。

また、日本建築学会が熊本地震で震度6強および震度7が2回計測された益城町を中心としたエリアを調査したところ、旧耐震基準(昭和56年5月以前)で建てられた木造建築物の倒壊率は28.2%(214棟)となっており、新耐震基準で建てられた木造建築物の倒壊率よりも著しく高かったことがわかっています。(出典:国土交通省資料

なお、新耐震基準で建てられた木造建築物の内、昭和56年6月~平成12年5月に建てられたものの倒壊率は8.7%(76棟)、平成12年以降に建てられたものの倒壊率は2.2%(7棟))でした。

こうしたことから、耐震性が向上している今現在でも繰り返し起きる大規模地震では建物被害が多く発生してしまうこと、そしてその一方でやはり建物の耐震性が建物倒壊を防ぐことに大きく関与していることがわかります。

住まいを地震から守るには耐震だけでOK?

耐震性だけでOK?

では自分たちの住まいを考えるとき、耐震性を高めるだけでOKなのでしょうか。

答えは「No」です。

兵庫県南部地震や熊本地震で被害を受けた多くの住宅が築年数の古い旧耐震基準で建てられた木造住宅でしたが、「H15年 住宅・土地統計調査(出典:総務省資料)」によると、新たに着工された戸建て住宅の約85%が木造、既にある戸建て住宅では約93%が木造という調査結果がでています。

つまり、今でも多くの戸建て住宅が木造ということです。

そして木造戸建て住宅において近年取り入られているのが、耐震住宅に制震装置を設置する「耐震+制震」という組み合わせです。

建物の地震対策には耐震・免震・制震が大きな3つの軸となっていますが、これまで戸建て住宅では耐震性を高めることに注力されてきました。

免震・制震の技術は、高層ビルやマンションなどの比較的大型の建築物等を中心に用いられていました。

しかし近年、制震装置の小型化など技術も進み、「耐震+制震」を取り入れるのが新たな地震対策のスタンダードになりつつあります。

では、そもそも「耐震」「制震」にはどのような特徴があるのでしょうか。

耐震って?

耐震

耐震とは「建物の構造体の強度を上げて頑丈にすることで、地震の揺れに耐え、建物の倒壊を防ぐこと」です。

耐震住宅ではこれを実現させるために、筋交いや構造用合板、金具などを使用し補強する方法がとられています。

耐震は地震対策の基本かつ最もポピュラーな方法であり、次のようなメリットがあります。

  • 比較的低いコストで取り入れられる
  • 現在の建築基準法に則っていれば追加費用なしで耐震住宅を建てられる
  • 地震以外に台風など強風にも備えることができる
  • 間取りの制限が少ない
  • 新築・既存を問わず取り入れることができる

一方で、耐震にもつぎのようなデメリット(弱点)があります。

  • 揺れが激しい
  • 建物の上部ほど強く揺れる
  • 家具の転倒を防ぐには弱い
  • 繰り返しの揺れに弱い可能性がある

つまり、耐震性を上げても上記のような弱点部分は他の方法で補う必要があります。

制震って?

制震

制震とは「建物の内部に設置した制震装置によって地震のエネルギーを吸収することで、建物の揺れを抑制し、倒壊や損壊を防ぐこと」です。

制震装置とはいわゆる「制震ダンパー」のことで、ゴムダンパー、オイルダンパー、鋼材ダンパーなどの種類があります。

(※株式会社トキワシステムが提供している制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、この中のオイルダンパーになります。)

制震には次のようなメリットがあります。

  • 建物の揺れを吸収し抑える
  • 耐震構造よりも構造部への被害が少ない
  • 繰り返しの揺れに強い
  • 地震以外に台風など強風にも備えることができる
  • 工期が短い
  • 新築・既存を問わず取り入れることができる(制震ダンパーの種類による)

一方で、制震にも次のようなデメリット(弱点)があります。

  • 地盤が弱い場合は導入が難しい
  • 耐震にプラスαの費用がかかる
  • 単体では倒壊防止の効果が弱くなる
  • 建材や工法によって相性がよくないある場合がある
  • 建物内部では揺れを感じる

「耐震+制震」で地震に強い家に!

上記のメリット・デメリットからもわかるように、耐震、制震の組み合わせを行うことで双方の弱点をカバーし、相乗効果によって高い効果を発揮します。

たとえば耐震性を上げるだけでは繰り返し起きる地震には弱いですが、制震をプラスすることで繰り返す地震にも効果を発揮し、耐震性の持続性を高めます。

最近では大手ハウスメーカーをはじめ、多くの新築住宅やリフォーム工事、耐震化工事の際に制震装置の設置をするケースが増えています。

※「制震装置ってなに?」「うちにも設置できるの?」といった疑問や詳細にご興味のある方は、下のバナーよりお気軽にお問い合わせください。

まとめ

これまで日本で起きた震災や大規模地震による建物被害のまとめを基に、住まいをより”地震に強い家”にするための対策についてお伝えしました。

これまで日本では大規模地震が起きるたびに深刻な建物被害が起きており、それらを教訓に、耐震基準の改正や新たな制度の設立、耐震化の推進など行ってきました。

そしてその効果も出つつありますが、それでも地震の際の建物被害は起きています。

地震による建物被害の原因は建物の耐震性だけではありませんが、やはりより地震に強い建物にするにはどうすればよいか、地震の多い日本に住む限り私たちはそのリテラシーを高め、実践しなければならないのでしょうか。

住まいに取り入れたい制震装置「αダンパーExⅡ」

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いざ「住まいに制震を!」と思っても、どのような制震装置を取り入れればよいかわからないのではないでしょうか。

もちろん制震装置(制震ダンパー)はどんなものでもよいわけではありません。

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を必ずご確認ください。

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーで、東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。


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  • 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能

次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。

続いて、次の実証実験結果をご覧ください。

耐震工法で建てられた住宅に制震装置「αダンパーExⅡ」 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。

このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。

参考コラム】
制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり
制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

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監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021