【木造住宅の構造を再確認】基礎と木部の構造とメリットデメリット

私たちが住む日本の新築住宅では、木造住宅が多くを占めています。

建築基準法等で耐震などさまざまな取り決めがなされてはいるものの、木造住宅の耐震性や間取りなどに大きく関わってくる「構造」については、きちんと把握しておきたいところです。

そこでこの記事では木造住宅の構造に注目し、木造住宅の土台となる「基礎」部分の構造と、その上に建てる「木部」の構造について種類やメリットデメリットをご説明していきます。

あらかじめデメリットを把握しておくことで適切な対策を行うことが可能になるので、この機会に再確認してみてはいかがでしょうか。

この記事を読んだらわかること

・木造住宅の基礎の構造は布基礎とベタ基礎の2種類があります。
・木造住宅の木部の主な構造は木造軸組工法、木造壁式工法(ツーバイフォー)の2種類です。
・木造住宅の耐震性への対策として制震性の向上があります。

木造住宅の基礎の構造とは

布基礎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

建築物の基礎には「直接基礎」「杭基礎」とがあります。

一般住宅の基礎の構造はほとんどの場合で「直接基礎」が用いられます。

直接基礎の種類には次の3つがあります。

  • 独立基礎
  • 布基礎
  • ベタ基礎

この中でも一般的な木造住宅でよく用いられているのは「布基礎」と「ベタ基礎」です。

今回は布基礎とベタ基礎の構造や、両者を比較した場合のメリットとデメリットをみてみましょう。

布基礎の構造とメリットデメリット

布基礎のメリットデメリット

布基礎とは、ポイントごとにいわゆる「点」で木造住宅を支える基礎の構造です。

断面が「逆T字」の形をした鉄筋のコンクリートを地面の奥深くまで打ち込んで、住宅を支えます。

後述する「ベタ基礎」よりも地中の深くまで鉄筋コンクリートを入れますが、住宅を支えているのは基礎の立ち上がり部分だけになるため、「点」で支えるといった表現をされています。

通常、布基礎の立ち上がりコンクリート部分が帯状(若しくは線状)となり、それ以外の部分は土となっていますが、近年は立ち上がり以外の部分にも防湿用のコンクリートを敷設し、見た目はベタ基礎と変わりないものが増えています。

布基礎は古くから日本の木造住宅の基礎構造としてメジャーでしたが、最近はベタ基礎が主流です。

布基礎のメリット

布基礎のメリットとして、次の2点が挙げられます。

  • ベタ基礎と比較してコストを抑えられる
  • 箇所によってはベタ基礎よりも強度が高い部分がある

まず、布基礎ではベタ基礎よりも使用するコンクリートや鉄筋が少ないため、その分コストを抑えることができます。

基礎自体はベタ基礎よりも地中深くまで入っているため、支えている箇所においてはベタ基礎よりも部分的に強度が増すというメリットもあります。

そのため、鉄骨住宅や積雪の多い地域においては布基礎の方が適しているケースもあります。

布基礎のデメリット

布基礎のデメリットには、次の3点が挙げられます。

  • ベタ基礎と比較して耐震性に劣る
  • 湿気やシロアリ被害を受けやすい

耐震性に関しては、「面」で支えるベタ基礎と比較すると、「点」で支える布基礎の方が劣るというデメリットがあります。

また、防湿用のコンクリートを敷設していたとしても、ベタ基礎と比べて厚みが薄いため、湿気による被害やシロアリ被害を受けやすいというデメリットもあります。

ベタ基礎構造とメリットデメリット

ベタ基礎のメリットデメリット

ベタ基礎とは、床もあわせた大きな「面」で木造住宅を支える基礎の構造です。

基礎の立ち上がりだけでなく、底板一面がコンクリートになっているのが特徴です。

立ち上がり部分と床面を鉄筋の入ったコンクリートで一体化させて基礎全体で住宅を支えるため、「面」で支えると表現されています。

ベタ基礎のメリット

ベタ基礎のメリットにはまさに布基礎のデメリットの逆となる内容を中心に、次の3点が挙げられます。

  • 耐震性に優れている
  • 不同沈下が起こりにくい
  • 湿気やシロアリ被害の防止効果がある

ベタ基礎は底面全体で住宅を支えるため、耐震性に優れるとともに不同沈下も起こりにくいというメリットがあります。

また、床面を覆うコンクリートの厚みが大きいため、木造住宅の天敵となるシロアリ被害や湿気による被害を防止する効果も高くなります。

ベタ基礎のデメリット

ベタ基礎のデメリットはやはり、コンクリートや鉄筋の量が増えることによってコストが高くなる点が挙げられます。

<参考コラム>地震に耐える住宅の構造│最適な地震対策を施す重要性

木造住宅の木部(建物)の構造とは

木造軸組工法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

木造住宅で基礎の上に立ち上がる木部(建物)部分の構造はいくつかありますが、一般的な木造住宅で主流となっている構造は「木造軸組工法(在来工法)」「木造壁式工法(ツーバイフォー)」に大きく分けることができます。

それぞれの構造の特徴やメリットデメリットをみていきましょう。

木造軸組工法(在来工法)のメリットデメリット

木造軸組み工法

木造軸組工法とは、柱と梁で骨組みをつくり、筋交いと呼ばれる斜めの木材を組み込んで補強して建築する工法のことです。

日本で古くから採用されている工法で、在来工法とも呼ばれます。

一般的に木造住宅とわれる住宅の構造のほとんどが、木造軸組工法(在来工法)です。

木造軸組工法(在来工法)の メリット

木造軸組工法(在来工法)のメリットには、次の内容が挙げられます。

  • 間取りの自由度が高い
  • 開口部を広く取れる
  • 増改築やリフォームがしやすい
  • 工務店やハウスメーカーの選択肢が多い

木造軸組工法(在来工法)は骨組みをベースとし柱と梁で構成されている構造のため、他の工法と比較して、耐力壁以外であれば壁を設ける箇所の選択肢が多くあります。

したがって間取りの自由度が高くなり、開口部も広くとりやすいというメリットがあります。

同じ理由から建築後も増改築やリフォームがしやすいといった特徴もあります。

また、日本では最も一般的な構造のため、木造軸組工法(在来工法)を施工できる工務店やハウスメーカーが多く、選択肢が多いというメリットもあります。

木造軸組工法(在来工法)のデメリット

一方で木造軸組工法(在来工法)のデメリットには、次のような事柄が挙げられます。

  • 質や仕上がりが一定に保たれにくい
  • 工期が長い

材料となる木材は天然素材のため、品質に多少のばらつきが出てしまいます。

施工する職人さんの技術によっても、仕上がりに差が生じてしまうといったデメリットがあります。

また、ほかの工法と比較して工期が平均して4カ月~半年と長めな点も、急いでいる場合にはデメリットといえます。

木造壁式工法(ツーバイフォー)のメリットデメリット

木造壁式工法

木造壁式工法(ツーバイフォー)とは、規格化された木製パネルで天井・床・壁などを組み合わせて建築する工法のことです。

北米から輸入された工法で、主に2インチ×4インチサイズのパネルが用いられることからツーバイフォー工法とも呼ばれます。

木造住宅の中でも輸入住宅や海外の規格住宅でよくみられる構造です。

木造壁式工法(ツーバイフォー)のメリット

木造壁式工法(ツーバイフォー)には次のようなメリットがあります。

  • 工期が短い
  • 品質が一定に保たれやすい
  • 耐震性に優れている
  • 気密性や断熱性に優れている

材料が規格化されており、組立も釘を打つ箇所など細部にわたって決められているため、施工期間の短さや施工する職人さんの技術の差が出にくく品質が一定に保たれやすいといったメリットがあります。

また、パネルといった「面」で構成された構造のため他の工法と比較して耐震性に優れているといわれており、気密性や断熱性も高い点もメリットです。

木造壁式工法(ツーバイフォー)のデメリット

木造壁式工法(ツーバイフォー)のデメリットとしては、木造軸組工法(在来工法)のメリットとは逆の内容を中心に次のような点が挙げられます。

  • 間取りの自由度が低い
  • 開口部を広くしづらい
  • 増改築やリフォームに制限が生じる
  • 工事中の雨養生を厳重に行う必要がある

パネルを用いた壁で支える構造であるがゆえに壁を抜くのが難しい箇所が多く、間取りの自由度が下がったり開口部を広くとりづらかったりといったデメリットがあります。

そのため増改築の際も、二つの部屋を一つにしたりリビングにつなげたりする場合には制限が生じる可能性が高くなってしまいます。

また、木造軸組工法(在来工法)と違って木造壁式工法(ツーバイフォー)では屋根の組み立てが最後になるため、工事期間中の雨養生を厳重に行う必要がある点もデメリットといえるでしょう。

まとめ:それぞれのメリットデメリットを把握して適切な対策を

適切な対策を

木造住宅で主に用いられている構造についてご紹介しました。

基礎の構造については、阪神淡路大震災以降に建てられた家ではほとんどの住宅でより耐震性の高いベタ基礎が用いられています。

木部の構造に関しては多くの木造住宅で木造軸組工法(在来工法)が用いられていますが、どちらの構造においてもメリット・デメリットの両方があります。

間取りの自由度や耐震性・気密性の高さ、コストや工期など、どの点を重視するかで選択する構造も変わってくるかもしれません。

いずれにしても各構造の特徴やメリット・デメリットを把握し、弱点への適切な対策をとることが大切になってきます。

例えば木造住宅でも 木造軸組工法(在来工法) で間取りの自由度を確保しながら、多くの方が気になる耐震面での補強として制震装置の設置をといった選択肢もあります。

<参考コラム>【耐震住宅なら安心?】耐震構造の弱点と解決策

耐震工法の木造住宅へさらなる安心を~制震ダンパーという選択肢

制震装置「αダンパーExⅡ」

新建築基準法や耐震等級制度などによって、最近の木造住宅は一定以上の耐震性を兼ね備えています。

しかし構造で比較した場合、一般的な木造住宅の構造である「木造軸組工法(在来工法)」が「木造壁式工法(ツーバイフォー)」と比較して耐震性が若干劣ることに不安を覚える施主様も多いのではないでしょうか

そんな時におすすめしたいのが、トキワシステムの制震装置「αダンパーExⅡ」の設置です。

建物への地震対策が重視されている昨今、耐震化が施された木造住宅への制震装置の設置が注目されています

耐震工法で建てられた木造住宅に「制震」の技術を取り入れることで、繰り返しの揺れに弱いなどの耐震だけでは補いきれない弱点をカバーすることが可能です。

もちろん「木造壁式工法(ツーバイフォー)」で建てられた木造住宅へ設置することも可能です。

制震装置「αダンパーExⅡ」を、耐震性を備えた住宅に追加で設置することで地震の揺れによる建物の変形を最大55%低減させることができ、お施主様の大切なお住まいを守ります。

建物の変形を最大55%低減

トキワシステムは、自動車トランスミッションの計測器の設計開発解析・測定に携わるパイオニア集団として、長きにわたり自動車業界に従事してきました。

その後、国立大学からの要請によって木造住宅耐震性能試験装置の開発に携わり、1999年には制震装置「αダンパーExⅡ」を開発し、現在に至ります。

「αダンパーExⅡ」はおかげさまで中部圏を中心に「15,000棟」という東海地域でナンバーワンの供給実績を誇り、多くのお客様に満足いただいています。

また、トキワシステムの制震装置「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアして、その効果が認められています。

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

トキワシステムの制震装置「αダンパーExⅡ」

繰り返し起こる地震。

いつ起きてもおかしくない地震から、住宅や家族を守りたいと誰もが願います。

トキワシステムの制震装置「αダンパーExⅡ」は、耐震住宅の弱点を補いつつ建物の倒壊防止に効果を発揮します。

大切なお住まいに制震技術をプラスして、家族と財産を守る住宅を提案しませんか?

技術力の高いトキワシステムが提供する安心・高品質な制震装置 「αダンパーExⅡ」 であれば建物をしっかりとサポートし、お施主様からのさまざまなご要望にもお応えします。

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トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」製品紹介

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」製品サポート

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」よくある質問

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021