木造住宅の耐震補強(リフォーム)徹底ガイド│流れや種類、「耐震」以外の選択肢もご紹介
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「我が家は木造住宅。築年数が経過したし、そろそろ地震対策を考えた方がいいかな?」
本記事では、こうした疑問を持つ方に向けて、木造住宅の耐震補強(耐震リフォーム)の流れや取れる選択肢、また「耐震」以外の考え方についても解説します。
できれば避けたい、耐震補強の失敗や後悔を防ぐ方法もご紹介しますので、地震の発生および被害が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
・木造住宅の耐震補強リフォームの流れや代表的な工事の種類が分かります。
・「耐震」「制震」「免震」の違いや、一般住宅に最適な対策方法がわかります。
・失敗、後悔を防ぐポイント、制震ダンパー導入による地震対策の効果を確認できます。
今、費用を抑えつつ住宅の地震対策に高い効果を得られる「制震ダンパー」のニーズが高まっています。
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目次
耐震補強が必要な住宅とは?
地震に強い家づくりの第一歩は、「自宅が本当に安全かどうか」を知ることです。
木造住宅は築年数や間取りによって、構造的に大きな弱点を抱えている場合があります。
はじめに、耐震補強を検討するべき住宅の主な特徴をご紹介します。
旧耐震基準の住宅
1981年(昭和56年)以前に建てられた木造住宅は、現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。
構造上の弱点を把握し、早めに耐震補強を検討しましょう。
- 旧耐震基準(~1981年):震度5程度の中規模地震に耐える設計。大地震では倒壊の危険性あり。
- 新耐震基準(1981年~):震度6強~7の地震でも倒壊を防ぐ設計。
- 2000年基準(~現在):柱や梁の接合部、地盤調査、壁配置などを強化。
築40年以上の木造住宅や1981~2000年の間に建てられた住宅は、耐震診断を受けて、お住まいの現在の状態を確認することをおすすめします。
>関連コラム:耐震基準はいつ改正されたの?「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いとは?
劣化(ひび割れ、傾き、雨漏り、シロアリなど)が進行している住宅
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築年数にかかわらず、構造部の劣化が見られる住宅は耐震性能が著しく低下している可能性があります。
以下のような症状が確認されたら、早急な点検と耐震補強をおすすめします。
- 基礎や外壁にひび割れがある:構造の緩みや地盤沈下の兆候
- 床や柱に傾きがある:建物全体のバランスが崩れている状態
- 天井や窓枠からの雨漏りがある:構造体が腐食し始めている可能性
- シロアリの被害がある:木材の強度が著しく低下し、地震時の倒壊リスクが上昇
>関連コラム:日本の木造住宅は寿命が短い?短命の原因、耐震性向上など長寿命化対策もご紹介
吹き抜けや大開口など、耐震性を損なう間取りがある住宅
見た目の開放感を優先した間取りは、耐震面での弱点となるケースがあります。
以下のような設計には特に注意が必要です。
- 吹き抜けのある2階建て住宅:床面が少なく、上下階の剛性バランスが崩れる
- 大開口(掃き出し窓、引き戸)が多い間取り:耐力壁が不足し、横揺れに弱くなる
- 1階がピロティやガレージになっている:上階を支える壁や柱が少なく、倒壊リスクが高まる
- L字やコの字などの複雑な平面形状:地震時にねじれるような揺れ(ねじれ応力)を受けやすい
>関連コラム:【地震に弱い家】形など10の特徴を解説│弱い家を避ける11の方法も紹介
確認したい、耐震リフォームの流れ
木造住宅の耐震補強は、業者に依頼してすぐに完了するものではありません。
まずは住宅の状態を正しく把握し、段階を踏んで進めることが重要です。
一般的な耐震リフォームの流れは、以下のとおりです。
- (1)耐震診断
- (2)耐震補強の設計と見積もり
- (3)耐震補強工事の実施
(1)耐震診断

はじめに耐震診断を受けることで、自宅の「弱い箇所」が明確になります。
図面や建築確認書類など書類検査のほか、目視での確認もありますので、劣化の状況も確認できる点にも注目です。
- 建築年、図面、現地調査などをもとに、壁の配置や劣化状況をチェック
- 多くの自治体で診断費用の補助あり
(2)耐震補強の設計と見積もり
耐震診断の結果を受けて、耐震性が低いと判断された場合は、耐震補強工事の提案を受けます。
具体的な工事の内容や見積もりを取得し、耐震リフォームを実施するのか判断することとなります。
- 診断結果をもとに、補強すべき箇所を設計
- 耐震壁の追加、基礎補強、屋根の軽量化などを検討
- 工事内容と費用の見積書を提示
(3)耐震補強工事の実施
住まいの安全性を高める判断をした場合、実際に耐震補強工事を実施します。
工事の種類によっては、一時的に仮住まいに引っ越すこともあります。
- 設計に基づいて工事を実施
- 工期は内容により1週間〜1ヶ月程度
- 補強後は、住宅の資産価値や安全性が向上
中でも工事の期間が短く、また小規模であることから、「制震ダンパーの設置」による地震対策は、住みながらの地震対策としておすすめです。
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耐震補強(リフォーム)工事の種類をご紹介
耐震補強リフォームは、建物の「弱点」を見極めて部分的に補強することが基本です。
家の状態や築年数に応じて、以下の例のように複数の工事を組み合わせることで地震に強い住まいを実現します。
- 基礎の補修、補強
- 壁の増設、補強
- 接合部の金物の補強
- 屋根の軽量化
- 床や小屋裏の水平構面強化
- 開口部など間取りの見直し
基礎の補修、補強
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建物を支える「基礎」が劣化していると、耐震性が大きく損なわれます。
特に、無筋コンクリートやひび割れがある場合は補強が必要です。
主な補強方法には以下のようなものがあります。
- エポキシ樹脂の注入:ひび割れに充填し、コンクリートと一体化させる
- 増し打ち工法:既存の基礎に鉄筋入りモルタルを重ねる
- 新設基礎の追加:必要に応じて新たな基礎を増設し、耐力を確保
こうした基礎への対策を行うことで、建物全体を安定させ上部構造の補強効果をより確実なものにできます。
>関連コラム:【木造住宅の構造を再確認】基礎と木部の構造とメリットデメリット
壁の増設、補強
地震の揺れに強い「耐力壁」を適切に配置することで、倒壊を防ぐ効果が高まります。
特に、窓や開口部が多い住宅では耐力壁が不足しがちですので、他の対策も合わせて検討する必要があります。
- 構造用合板の追加:既存壁の内側や外側に貼り、面で支える
- 筋交いの設置:斜材を入れて揺れに強い構造にする
- 壁の新設:間仕切りを追加し、建物全体のバランスを整える
建物全体で「東西、南北どの方向にも揺られても強い」構造を作ることが、地震に耐える住宅の鍵になります。
>関連コラム:耐力壁は大事?筋交いとは?耐震性を高めより地震に強い住宅にする方法とは
接合部の金物の補強
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木造住宅では、柱や梁、土台といった主要構造材の「つなぎ目」が損傷を受けやすい傾向にあります。
接合部を金物でしっかり固定することで、揺れによる脱落や損傷を防げます。
- ホールダウン金物:柱脚、柱頭を強固に固定し、引き抜きを防ぐ
- 筋交い金物、羽子板ボルト:部材同士を緊結し、ズレを防止する
工事が完了してからは見えなくなる部分ですが、建物の「骨格の耐久性」を左右する重要な補強ポイントです。
>関連コラム:耐震金物ってなんだろう?種類や効果を解説|より地震に強い家にするには?
屋根の軽量化
屋根が重いと建物の重心が高くなり、地震の揺れで大きく揺さぶられます。
耐震補強では屋根を軽くすることで、建物全体のバランスを改善します。
- 軽量瓦への交換:見た目を保ちつつ重量を半減
- スレートやガルバリウム鋼板への葺き替え:軽い屋根材へ交換
屋根の軽量化は、耐震性と耐久性の両方を高める一石二鳥の方法です。
床や小屋裏の水平構面強化
床や屋根裏(小屋裏)の天井材(水平構面)は、建物の「ねじれ」を防ぐ重要な役割を担います。
水平構面が弱いと建物が変形しやすくなりますので、不足する場合は対策が求められます。
- 構造用合板の追加:床や天井の剛性を高め、水平力に耐える
- 火打ち梁の設置:建物の隅部を斜めに補強し、ねじれを防ぐ
こうした補強により、地震に発生する「横揺れ」を中心に、建物の耐震性を高めることができます。
開口部など間取りの見直し
大きな窓や吹き抜けは開放的で魅力的ですが、耐力壁が不足することがあり、構造上の弱点になりがちです。
間取りの見直しを中心とした対策で耐震性を改善します。
- 窓の位置や大きさを調整:壁量を確保しつつ採光を維持
- 間取りの再設計:柱や壁をバランスよく配置して、構造的安定を確保
- 必要に応じた壁、柱の追加:耐力不足部分を補強
デザイン性と安全性を両立させるリフォームによって、快適さを損なわず地震に強い住まいを実現することは可能です。
「耐震」に加えて、制震構造の導入もおすすめ
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>制震ダンパー施工事例(株式会社くらしのリーザ様・H様邸【愛知県】)
耐震補強によって建物の強度を高めることは基本ですが、近年は「揺れを吸収する」制震構造を組み合わせるケースが増えています。
耐震だけでは防ぎきれない、余震などによる繰り返しの地震被害を軽減できる点が大きな魅力です。
耐震、制震、免震、構造の違いと利用方法
地震対策の工法には、「耐震」「制震」「免震」の3つの方式があります。目的やコスト、建物の構造により最適な方法は異なります。
- 耐震構造:柱、梁、壁を強化して建物自体が揺れに“耐える”仕組み。最も普及しており、耐震等級や建築基準法による明確な基準がある
- 制震構造:建物内部に「制震ダンパー」などを設置し、揺れのエネルギーを“吸収、分散”する仕組み。繰り返し地震にも強く、木造住宅との相性が良い
- 免震構造:地盤と建物の間に装置を入れ、揺れを“建物に伝えない”構造。主に高層ビルや大型施設などで多く採用される
一般住宅では、費用や施工性、効果のバランスから「耐震+制震」の併用が最適です。
耐震で“強さ”を、制震で“しなやかさ”を補うことで、地震に耐えられ、また揺れを吸収し何度も発生する揺れにも強い住まいになります。
>関連コラム:結局「耐震・免震・制震」のどれがいいの?効果的な組み合わせの解説と実例を紹介
一般住宅に対しては「制震(オイルダンパー)」がベスト
木造住宅の耐震リフォームにおいて、最も効率的な対策は制震装置の導入です。
制振装置には、「鋼材、ゴム、オイル」といった種類がありますが、中でもオイルダンパーは、以下のとおり複数の点で優れており、繰り返し起こる地震にも効果を発揮します。
- 小さな揺れから大きな揺れまで幅広く対応
- 温度変化に強く、メンテナンスフリー
- 製品自体がコンパクトで、リフォームにも対応
オイルダンパーは、耐震補強と併用することで建物へのダメージを半減できる実績もあり、一般住宅に最適な選択肢といえます。
>関連コラム:制震(制振)ダンパーの種類(オイル・粘弾性・鋼材)を比較・解説│メーカーや制震方式の特徴も紹介
耐震補強、失敗や後悔を防ぐコツ3選
耐震補強を目的としたリフォームは費用も手間もかかりますので、場合によっては「しなければよかった」と後悔を感じるケースもあるようです。
記事の終わりに、施工後の後悔を避ける3つのポイントをご紹介します。
補強工事は「バランスよく」が大切
耐震補強は、部分的に強化すればよいというものではありません。
建物全体のバランスを考慮し、壁量や基礎、接合部などを総合的に補強することが欠かせません。
特に注意するべきは次の点です。
- 一部の壁だけを補強すると、かえって他の部分に力が集中して破損する
- 屋根や外壁の重さが変わると、重心バランスが崩れる
- 上階と下階の強度差が大きいと、倒壊リスクが高まる
構造全体を見渡した「一体補強」を意識することが、効果的な耐震化に必要な考え方です。
シロアリや腐朽など劣化対策も合わせて
どれほど強固な補強をしても、構造材が劣化していては意味がありません。
特に木造住宅では、シロアリ、腐朽、雨漏りといった被害が耐震性低下の主な原因になります。
- 床下や柱など木材の含水率チェック
- シロアリの痕跡や木材の変色確認
- 屋根や外壁の防水処理
こうした劣化要因を同時に点検し、必要に応じて防蟻処理、補修を行うことで、耐震リフォームによる補強効果を長期的に維持できます。
耐震補強は施工会社、メーカーが重要
耐震補強の品質は、設計や使用する材料だけでなく、施工会社やメーカーの技術力に大きく左右されます。
施工実績が豊富で、耐震診断から設計、施工まで一貫対応できる会社を選ぶことが理想です。
また、耐震リフォームに対する補助金制度を活用できる業者を選ぶと、費用面でもメリットが生まれます。

>トキワシステムは制震ダンパーの配置計画も「専門スタッフ設計」で安心
なお、「制震ダンパー」など精密な装置を導入する場合は、正しい施工知識を持つメーカー、代理店を選ぶことで、効果を最大限に発揮できます。
中には設置位置などについて、施工計画のサポートをする会社もありますので、耐震性を高める機器を導入する際は会社選びの基準にしましょう。
>関連コラム:【耐震性を高める】制震ダンパーはどこがいい?ランキングでの紹介は難しい?価格や特徴など、製品を選ぶ7つの方法を解説
まとめ
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木造住宅の耐震補強は、命と資産を守るための確実な地震対策です。
旧耐震基準の住宅や劣化が進んだ建物は、早めの耐震診断と計画的な補強が欠かせません。
また、繰り返し発生する地震にも対応できるよう、「耐震+制震」の組み合わせを検討することもおすすめです。
トキワシステムでは、制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を活用したリフォーム提案を行っています。
これから木造住宅の地震対策を検討される方は、お気軽にご相談ください。
制震ダンパーを利用した地震対策のメリットなど、特徴についてご説明致します。
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